第21話 f値

 さて次は、レンズでもカメラ本体側でも操作できる所として、『f値(えふち)』についてお話しようかと。これもそこまで難しいお話ではないので、大丈夫ですよ。


 レンズの中には内側を囲むように『羽根』が配置されていて、それを広げたり畳んだりすることで、光の入ってくる量を調整する役割を持っている訳です。

 夜の屋内で光量が少ないのであれば、羽根を畳んで多くの光を取り込むようにしたり、野外の晴れた空の下でしたら、ある程度羽根を広げて入ってくる光量を制限したり。そういう使い方をします。


 それ以外にも役割がありまして、それは『被写界深度(ピントが合う前後幅)』を調整する役割もあります。

 f値を下げる(羽根を畳んで入ってくる光量を多くする)とピントが合う前後幅は狭くなり、f値を上げる(羽根を広げて入ってくる光量を少なくする)とピントが合う前後幅は広くなります。

 これを利用して、f値を上げて全体的にピントが合うようにする「パンフォーカス」にしたり、f値を下げて背景をボケさせたり、そういった表現の幅を作り出すのです。


 一般的に、「f値はある程度絞ったほうが、解像度が良くなる」と言われています。それは、レンズの中で中心部分に入ってくる光だけを使うようにすると、レンズの性能を十二分に発揮できるから、というのが理由だそうです。

 なので一般的には、f4.5〜8.0くらいまでに絞ったほうが、良いようです。ただ、レンズによってその性能はまちまちですので、この数値がそのまま当てはまるかは、そのレンズ次第です。


 その写真の表現の仕方によって、f値は変えていくのが、フォトグラファーとしての表現の幅に繋がりますから、注意して調整してみて下さい。


 なお、私はf値開放の表現が大好きで、そういう人の事を「バ開放」などと揶揄したりもします。

 バ開放結構! f値は低いのが正義! それもまた個性ですよ。

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