ダンジョン

各地には様々なダンジョンがある。


空に伸びる塔や、どこまでも深い森の中にあるもの光の届かない地下深いものまで、実に様々なものが存在していた。


ロキはその日の魔法に合わせて潜るため、短期集中でダンジョンの攻略をしたり、時にはダンジョンを諦めて、調合や採取の仕事をギルドから請け負って日銭を稼いでいた。


「今日は探知魔法だ」

攻撃系ではないので、物の納品をメインに依頼を受ける。


「今使える魔法って、どうやってわかるのです?」

アンリエッタの問いかけに、ロキは自身の頭を指さして答える。


「朝起きるとその日使用できるものが自然と思い浮かぶんだ。俺様はほぼ全ての魔法を使用できるのだが、高ランクの魔法まで頭に浮かんでくる」

収納などの生活魔法、防御壁、転移魔法はいつでも使える。


ロキの弱点を補うために臨時でパーティを組んでもいいのだが、わざわざロキと組みたいと言うものはいない。


ロキも一人が気楽だからあえて積極的に仲間を探すこともしなかった。


人に頼むのも頭を下げるのも嫌だということも大きかった。


今はアンリエッタもいるし、誰かを誘う必要もない。


何よりアンリエッタと一緒にいるのは心地よかった。


どんな魔法が出たとしても、馬鹿にしないし、むしろ魔法に合わせたダンジョンを一緒に探してくれたり、積極的に攻略も手伝ってくれる。


借金返済の為とはいえ、文句も言わず、危険なダンジョンにもついてきてくれた。


……借金を踏み倒されないようにかもしれないが、監視者のようにべったりであった。


ダンジョンに入り、探知魔法を発動させる。


頭の中に地図が浮かびあがり、どこに何があるかすぐわかるようになった。


目を開ければ、目的まで細い光が伸びており、道標が浮かんでいる。


「今日も頑張るか」


「はい」

剣を手に、ロキはアンリエッタを伴って歩き始めた。




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