第50話 見てるし見てる
ふわりとした黒猫と白猫のやりとりを私と彼女は喉の乾きも気にならずこっそりと見続けている。
「あのベンチ、あの場所で正解だった」
私の呟きに彼女は頷き、チラリと猫草を見た。私もつられて猫草を見たが、そうなればいいなと思ったくらいでまた、目をベンチに戻した。
猫達はこのままここを立ち寄る場所としてくれるだろうか? お気に入りとまではいかなくてもいいから、今日だけじゃなくて猫集会の行き道でも帰り道どちらでもいいから、また来てもらいたいな。
……そうなればいいのに。
私の思いを感じ取ったように彼女が呟く。
「毎日、来たらいいのに」
彼女は表情をそうは、変えずに笑っている。
「欲張りだね」
私は棘なくそう口にする。
「知らなかったの?」
「もっと欲張りでもいいよ」
「ふふっ、じゃあ……猫草もかじって欲しい」
「祈ってみる」
彼女は私の祈りをどの程度、信用しているのか分かるような返事を表情でしてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます