第50話 見てるし見てる

 ふわりとした黒猫と白猫のやりとりを私と彼女は喉の乾きも気にならずこっそりと見続けている。

「あのベンチ、あの場所で正解だった」

 私の呟きに彼女は頷き、チラリと猫草を見た。私もつられて猫草を見たが、そうなればいいなと思ったくらいでまた、目をベンチに戻した。

 猫達はこのままを立ち寄る場所としてくれるだろうか? お気に入りとまではいかなくてもいいから、今日だけじゃなくて猫集会の行き道でも帰り道どちらでもいいから、また来てもらいたいな。

 ……そうなればいいのに。

 私の思いを感じ取ったように彼女が呟く。

「毎日、来たらいいのに」

 彼女は表情をそうは、変えずに笑っている。

「欲張りだね」

 私は棘なくそう口にする。

「知らなかったの?」

「もっと欲張りでもいいよ」

「ふふっ、じゃあ……猫草もかじって欲しい」

「祈ってみる」


 彼女は私の祈りをどの程度、信用しているのか分かるような返事を表情でしてくれた。


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