第49話 猫目線(5)
黒猫はベンチに白猫を誘ってみる。台詞のような言葉しか思い浮かんでこないから黙って先にベンチに飛び乗り、前足を投げ出した。
白猫は黒猫の不器用なところを理解している。あどけない目を向けられ続ければ気づいてしまうから。
ここにくるかにゃ?
黒猫は、初めて上ったベンチを楽しむ余裕はなく、白猫の行動を注視している。
白猫は、落ち着いてベンチに上って黒猫との距離を少し開けて香箱座りをした。上からの眺めを楽しめているようで、黒猫も邪魔はせずに見守るような目をしている。
やっぱりこのベンチ、心地良いにゃ。
ふふん、寝癖がついてるのにすまし顔で見てるにゃ。
黒猫は、ちょっとだけの笑顔で我慢しているのだが、それを見られまいと反対側の景色を眺めている。
白猫は、それに気づくことはなかった。
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