第19話 楽

 葉と枝をどれだけ落とそうかと考えはじめたら、そのことに集中できるようにはなった。

 彼女の視線はあるのだが、猫を一番に考えて作業をして欲しいのは彼女だから、私への視線の意味を考えると更に集中力が高まる。


 葉のふちや枝の節、側枝などに柔らかな毛がいくつか見られる。するっとくぐってはいないようで窮屈さを感じられる跡としてそれを見ているのだが、猫の興味を引いているのはこのな訳で……通りたいと思わないようなものにしてしまう不安が道具を手にするのを躊躇わせている。


「楽しそうね」

 彼女はそう言いながら、ベンチの背もたれを存分に使っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る