第16話 三角

「今日はね、干しかたを変えてみようと思うんだけど」

 ロープを見ながら、彼女に簡単な説明をする。下に頂点を向ける三角干しと聞いた干しかたを試してみるつもりなのだ。

「早く乾くみたいなんだ」


 彼女は、シーツが風に舞うのを楽しみにしている為いつものように動かないことを心配している。

「シーツは早く乾くほうが嬉しいの?」

 私に問いかけるよりもシーツの幸せを望むような言い方だ。

「んー、早くベッドに戻れるからねー」

「ベッドに戻りたい気持ちは、分かる」

 彼女は納得した様子で、シーツの新たな干しかたを受け入れたみたい。

「ありがとう」


 ぴったり角を合わせた干しかたの名残り……今までの折り目を彼女は、どう見てるんだろう?

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