第14話 時間

「いきおいか! あらかあらか───」

 小さな画面からそんな言葉を話す数人の男性。彼女は、微笑みながらそれを見ている。

 彼女の作業はおわったようで、今はリビングでくつろぐ姿が見えている。

 私は、夕食の準備に忙しいが目で彼女を追うことは出来る。彼女のおわらせた作業がどのような結果を生むのか今は分からない。やり直しもあるし、ずっと関心を示さないこともあるだろう。少なくはあるが、今までの経験でというのは彼女が嫌っていることの一つなのだろうか?と思っている。

 終わりに拘る私ではないし、彼女の行動に意味を探す行為は楽しいが楽しめないから時間が必要みたいだ。

 開き戸のプッシュラッチの音が二回。そして、二回。

 今は、パエリアのサフランが見つからない。

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