第12話 学び
「猫は準備された道を好まない?」
「そうね。私たちの喜びは関係無いし、感謝されることもないでしょう」
「期待をしない。隙間を作ることを楽しむ?」
「通り抜けしにくくて、でも興味をもってしまって枝に身体を傷つけてしまいそう。こちらが勝手に考えてるだけのことよ」
「広くしたら姿を見られる機会が増えるかも?」
「ご褒美はあると嬉しいでしょ?」
ここで、一旦紅茶を楽しむ。
小鳥が羽休めを庭の木ですることもあるのだが、今日は猫の通った後だからなのか見あたらない。耳をすませば遠くに鳥の声を聴くことは出来るが、その集中は長くは続かない。
ふたりともティータイムとしての会話選びを間違った方向へ進ませないようにしているが、言葉を見つけたときの沈黙の辛さ……私は堪え性がないのを自覚する。
「この時間も、ご褒美」
私は、表情を言葉の意味と同じように柔らかく変えた。感じたことは、なくせない。
私の言葉と表情は彼女に伝わったけど、このあたりが退き時なんだろう。そう思うと無さそうな、かえり言葉を待たずに喋った。
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