第7話 彼女に選ばれる理由

 私は、彼女以上のことを何も知らない。彼女に辿り着いてから、ロックシンガーが狂うほどに歌う愛よりも激しく深い生きる道があることを知った。

「……悲しすぎちゃった」

「私をみれなくなるくらい?」

「そう」

「シャツ脱いだけど?」

「えっ?」

「ふふっ、直ぐ見過ぎ」

 あー、何だろう……悪魔の囁き? というのかな。彼女の予想外の発言に顔をあげてしまったのだが、目が合うと素直に笑ってゆっくりと唇を動かした言葉に私を責める意味はあまり含まれていないみたい。

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