第5話 迷路
自分で入り込んだこの迷路は、出口がたくさんあって幾つかの見つかっているところの前をぐるぐるまわっている。
新しい出口を探してはみるが、どれも代わり映えのしないものでリスクの無いものが見つからない。
彼女はどんな思いで待っているのか、依然として静かなままで様々な可能性が感じられる。
───目をあけるのは、なし。声を出すにしても言葉の候補が決め手に欠けていて、口を動かすことを出来ずにいたが……。
「もどしたい」
「……ふふっ、こういうのが見られるから、一緒に居るのかも知れないのに?」
「楽しい?」
「時間を戻して欲しくないって思うくらいにはね」
言葉の意味を含め、一段と柔らかい声に私は喜びを抑えられず、その表情は───。
「ねぇ、時間を戻してってお願いすればいいの?」
かなり変化してしまったみたいだ。
「ふふっ、もっと目を閉じてたらよかったのに」
「ごめん」
謝りながらも、愛情表現と感じられる彼女の表情が見られたから、また笑顔が隠せなくなる。……お願いをされないように笑顔と受け取れるくらいで我慢しなきゃ。
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