第3話 低温火傷

 ゆっくりとした心音が伝わる。

 抱きしめると彼女も抱きしめかえす。

 彼女と一緒に居ることで私が知れたこと覚えたことは、私が空っぽということ。

「今度は、何が欲しい?」

「まだ、いらない」

 いつ新しい欲しいが見つかるのだろうか? 彼女のが、になるその日はきっとくるし、その時に代わりを私には求めないかもしれない。求められても私には手に入れられないかもしれない。

 私は被害者ではないし、彼女が加害者でもない。私の弱い心が照らせるのは、ほんの少し。私はあなたのことを知れない、それはあなたが見せようとしていないから。ほら、弱い心がほんの少しを頑張って照らそうとするから、熱だけを帯びてしまう。

「おんなじになりたいな」

「楽をしようとしないで」

彼女は声を優しくして、言葉を優しくしないことが上手だ。

「許さないって言って」

「ふふっ、いや」

笑いながら否定するのも、無理ってことにして優しく否定してくれる。

凄くききたいって気持ちを込めて呟く。

「許して」

「ふふっ、……許さない」

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