第2話 猫好きの猫アレルギー

 自分ではどうしようも出来ないんだなと諦めている彼女との生活。

 ケイゾクされなくなったら? 不意におとずれる風船が割れる瞬間の不快感に似たこの私の妄想。想像してもいないのに、強迫的に不安感を煽るこの考えは何故、生まれるのか?

 私はこんなことを思いたくはないのに。

「少し、邪魔かな」

 彼女を後ろから、なるべくの邪魔をしないように身体をくっつけたのだが、彼女の行動の幅を狭めるくっつく事をしておいて、邪魔をしないようにと考えた自分が情けない。

「ごめん」

「あと、みっつ待ってて。そうしたら、休憩にしましょう」

「休憩なのに?」

「貴方の顔を見るのは、かなり休憩になるのよ」

 彼女は言った後で少し笑い、みっつを積み上げると私と向き合った。

「んー? どうして?」

「言葉も笑ってくれたのも、好きって思ったから。今はそれだけになったみたい」

「単純ね」

「好きだよ」

「いつも、そう想ってて」

「好き」

 見つめたまま、アーモンドチョコくらいの距離でお互い動かずにいる。

 私の気持ちが彼女にとって心地好いものであるために、呼吸をあわせる。私の呼吸に合わせたそうならそれを意識するが、今日もそうではないようだ。

「ゆっくりの日?」

「私にはその日しかないみたいよ」

「そうかな?」

「貴方に合わせるから、速くなるの」

「……嘘つきだね」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る