第2話 リク

塔の前に、兵士たちが集まる。この塔は無双王ロンリーが、たった1人で住む塔。

大勢の兵士たちの中、ある男が前に出た。

リクという男だ。彼はこの軍隊を支えてきた隊長そして、無双王ロンリーと因縁のある男だ。

彼の前には、大勢の敵が。しかし人ではない。敵は無双王が作り出した使い魔だ。サンドバッグのような体型のスライムみたいで、かなりコミカルな見た目だが、はっきり言ってこいつら、成人男性2人がかりでなければ倒せないと言われているほど強い。


兵士たちは深呼吸するに対して、敵はうねうねと煽るように突っ立っている。


「……行くぞ」

えいえいおー、と兵士たちが片手を上げて叫ぶ。ちょっとふざけてんじゃねえかって思う方もいるかもしれないが、この国はこういう文化だからしょうがない。



一気に兵士たちが敵に向かって走り出す。リクは将軍という立場だが、前線に向かう。敵たちはその場から一切動かない。

と思いきや、一斉に動き出した。敵は腕のようなものを生やし、先端を鋭く尖らせた。兵士が剣で斬りかかる。もちろん敵も抵抗する。


リクは迫り来る敵たちを斬りながら進んだ。しかし敵はすぐに斬られた体を再生し、兵士に襲いかかる。

突然上から紫色の液体が落ちてきた。リクは剣で液体を全て切り裂いた。後ろからは兵士たちの悲鳴が聞こえてくる。しかし彼は振り向かずに、走り続ける。


突然巨大な敵が現れた。流石のリクも立ち止まったが、今度はジャンプした。

敵は人間の何倍も大きい鉤爪を振り下ろすが、リクはそれを貫いてかわす。

すると敵はもう片方の腕を分離させ、リクに襲いかかる。

リクは前に転がりながら腕を真っ二つにした。

「…敵が多い。あいつもやる気だな。だがリョウのために!」

リクにはロンリーと因縁があると書いた。その因縁はリョウのことだ。リョウはリクの子供なのだが、ロンリーに攫われたのだ。

「あの時こうすれば、こんなことには…、いや、前を見続けよう」

いよいよ塔の中へ侵入する。その様子をリョウが窓から見ていた。

「(父さんだ!!!!!!)」

「リョウ!危ないから窓から離れな!」

ロンリーが部屋の奥から出てきた。

「ああ、あの国か…。あの国融通が利かないからあんまり好きじゃないんだよな。手下を作っといて正解だった」

リクは兵士を何百人か引き連れて塔内へ侵入した。塔内はまるで現代の一般的な戸建てのような内装だが、家具や家電、キッチンやドアなどがかなりデカく、まるで自分達が小さくなったような空間だった。

「なんだここ……」

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無双王 まめでんきゅう–ねこ @mamedenkyu-neko

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