無双王

まめでんきゅう–ねこ

第1話 無双王

世はまさに戦争時代。

数々の国が世界統一を目指して各地で争っている惨めな時代だ。

そして、その中でも特に強かったのが、サイキョーの国という、いかにもサイキョーな国なのだ。

しかしこの国、戦場には兵士ではなく王1人だけしか来ていないのだ。今までにこんな国があっただろうか?

しかし、1人しかいないのにも関わらず、集団に打ち勝つその王は、無双王と呼ばれていた。

「やばい、無双王が来るぞ!!!!!!」

兵士があたふたしていると、その無双王と呼ばれる王がやってきた。

「……」

「やばい!しかし、相手は1人だけだ。俺らならやれる。行くぞ!!!!!!」

「おおおおおおおおう」

兵士たちは剣を握りしめて、王の元へ向かう。

「ああ、戦場は騒がしくていいね」

王はどうやら本当に1人だけらしい。

兵士たちが斬ろうと、剣を振るう。しかし王は避けるだけで、全く攻撃しない。

「(あれ?意外と弱い?)」

「無双王は避けているだけですが……」

「構わん、攻撃し続けろ」

無双王はいつまで経っても抵抗せず、笑っていた。

「ねえそこの君、好きな食べ物は?」

「え⁉︎ああマグロ丼」

「そうなんだ。よかったら作ってあげるよ」

「はあ?」

無双王は兵士1人1人に好きな食べ物と趣味を聞いた。

「へえ、じゃあ僕の塔へ来なよ。サッカーボールもコートも、トランプも君たちの好きな食べ物も、動物もたくさんいるよ」

「えぇ??????」

兵士は困惑して攻撃の手を止めた。隊長は怒った。

「おいなにしてるんだ!!!!!!早く殺せそいつを殺せ!!!!!!」

「あの、こいつ私たちを塔に招待したいそうです」

「ハァ?なに言ってるんだ。どうせ罠に違いない。早くそいつを斬れ!!!!!!」

「あのう、君が隊長かな?僕の塔は広いよ?なんでもあるんだよ?天国のような場所なんだよ?君たちは優雅に暮らせるしwin-winだよ」

「win-win?お前に得があるのか?」

「え⁉︎いやなんでもない」

「とにかくこいつを倒さなきゃ、俺らの負けということになる!!!!!!誰でもいいからそいつを殺せ!!!!!!」

兵士たちが王に向かって走る。

「………今回もダメだったか。…サヨナラ」

王の手に剣が出てきた。いよいよかと兵士たちも勢いよく後退りした。

「ごめんね君たち」

王は剣を振るった。が、兵士たちには当たっていない。

「…?」

と思いきや、突然兵士たちが吹っ飛んだ。

「何⁉︎」

「隊長、ここは一旦引きましょう」

「いや、俺を誰だと思っている。元魔法学校校長だぞ」

隊長は剣を出すと、無双王へ襲いかかる。無双王は隊長の剣を斬った。

「何⁉︎」

「君たちなら信じてるよ!僕の塔へ来てくれることを」

「……行くもんか貴様の塔に」

「…残念だったなぁ。でも仕方ないか。サヨナラ」

無双王は涙を流しながら剣を振るった。やはり隊長と手下は吹き飛ばされてしまった。

「人間には限りがあるんだ。早く見つけなきゃ」

無双王は剣を地面に突き刺した。

「友達を」

その王の名前は、ロンリー。

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