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 ユリちゃんとのデート完遂のため、さっそく下準備に取りかかる。


 エックスディは九月二十日。

 文化祭の代休。


 デートに集中しなくてはならない。ほかの依頼をすべてキャンセルする。


 「いまさら抜けられると思うのか」

 とか、脅迫されても仕方がない。ユリちゃんとデート、には変えられない。


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 運転に自信はあるが免許はない。マイカーもない。


 いつもは無免許を気にしないが今回は別だ。クラスメイトに免許を拝借し偽造屋にまわす。


 ちょっと遠出をして、いつもより見たくれのいい車を物色する。

 ユリちゃんに似合う車。

 かわいくて、おしゃれで、ちょっと小柄。

 ふわふわ、そうだな、こないだ盗みに入った美術館の庭に咲いてた、コスモスみたいなやつ。


 これか、


 空き地に停められた中古車からナンバーの切れたワーゲンバスに決める。

 ちょっとビンテージな淡い空色。

 いいね、秋のドライブにはぴったりだ。


 仕事なんかよりよっぽど慎重に準備する。偽造ナンバーだってなんかいいかんじにしたい。

 「指定ナンバーにできるのか」

 「できないよ、盗難車だよ?」

 「デートだからいいかんじのナンバーで頼む」

 「できないよ、盗難車だよ? しかもデートってなんだよ、キミは同志だと思ってたのに裏切りだ」

 「湘南ナンバー…73とか入ってるのがいい。4とか6とか…9はダメだ」


 なんだか気持ちがじんじんしたりそわそわしたりする。こんなのははじめてだった。

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