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 「てな、わけで?」


 朧月のしたり顔に、学食の外テーブルに並べられたパンフレットに目をおとす。


 『秋の伊豆を満喫しよう!』


 海水浴シーズン終わった観光地のムリヤリ感が丸だしだ。


 「ユリちゃんを、お泊まりドライブデートに、連れていきたまえ!」

 見ると、朧月の組んだ腕にひしと抱えられたクッキーの包みが隠れている。


 すごいすなおに買収されてるなおまえ。ほんとに逗子で一、二を争う私刑執行人か?


 朧月のとなりで、ユリちゃんが勢いよくうなずく。ポニーテールも一緒に揺れてる、かわいい。顔も真っ赤だ、かわいい。

 ユリちゃん、なんでじぶんでいわないんだ。そんなかわいいお願い、オレはユリちゃんから聞きたかった。


 「だって、は…恥ずかしい!」


 ユリちゃん!


 「だから! くじらさんっ!」


 テーブルドン!


 「お泊まりドライブデートでわたしのハートを、盗みだしてほしいんです!」

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