第18話 転職パワーすげえ……!
俺の人差し指が宙でうろうろする。
「何から見ようかなあ」
そんな嬉しい悲鳴を表すようにして。
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ステータス
名前:明星優希
レベル:34
職業:ファイター(class:1)
特性:レベルアップ時、攻撃力に小ボーナス
攻撃力:274
防御力:266
素早さ:268
魔力 :264
スキル
・パッシブ :【遅咲き】
・アクティブ:【
ギフト:【下剋上】
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でもまあ、上から順番に確認していこう。
じゃあまずは、職業についてだな。
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ファイター(class:1):ファイターの第一段階。
(class):全四段階存在し、段階が進むごとにボーナスが上昇、追加でスキルを獲得することもある。
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おお~、協会で聞いていた通り!
なお、段階の進み方までは協会でも分からないらしい。
進んだ者は確認しているが、意図的か否か、条件は隠されているみたい。
まあ、自分だけ進んでるっていう悦に浸っているのかな。
俺もいつかは進んでみたいものだ。
さてさて、続いて。
ここからは知らないことばかりだ。
「パッシブとアクティブって、なんだろう?」
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パッシブスキル:常に発動しているスキル
アクションスキル:自身が使いたいと願った時に発動するスキル
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あー、なるほど、なるほど。
使うのに意識するか、しないかってことね。
「【遅咲き】は、発動していて発動していないようなものだけどな……」
まあそれは言っても仕方ないので、置いといて。
続いて、スキルの詳細は?
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【
【武装強化】:自身の武器に魔力を
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ほーっ!
いや、どっちも説明雑だなー。
書いてあるまんまじゃん。
「でもそれほど分かりやすいスキルでもある、ということなのかな」
そしてやはり、ファイターはとことん自己強化をして、自ら道を切り開くような職業らしい。
ということで、
「……」
左右、後方をきょろきょろと振り返って確認。
よし、誰もいない。
となれば、実際にやってみるしかないだろう!
「みんな隠れてやってるよね?」
そんなことを呟きながら、俺は心の中で願う。
まずは……。
【
ドクン!
「うおっ!」
一瞬、心臓の鼓動が大きくなったかと思うと、次第に体全体が徐々に熱くなる感覚がある。
「……今ならなんでも出来そう」
なんとなく悟った俺の体は、すぐさま動き出す。
「うおおお!」
まずは、歩いてきた道を全力ダッシュ。
「は、速ええ!」
なんだこれ!
今までの三~四倍は早くないか!?
「とりゃっ!」
続いて勢いのまま全力ジャンプ!
「いっ!?」
瞬間的にぞくっとして下を見ると、縦に五メートルぐらい跳んでる!
しかも、ただ高いだけじゃなくて、この高さに到達するまでは早い!
「すっげえ!」
【
単純だけど、それゆえに分かりやすい!
何より楽しい!
「ははっ!」
今ならどこまで行けそうな気がす──
「ぐおっ! ……ぐぇ」
前方不注意で柱に激突、そのまま柱を伝いながら床へ。
調子に乗り過ぎは良くないと、メモメモ。
「いててて……」
事故には遭ったが、とにもかくにも概要は分かった。
この痛みも、心に沁みついただろうしな。
ならば次だ。
【武装強化】!
「おお……!」
心の中で願うと、握っている剣の輝きが増す。
輝くというより、輝きが増すといった感じ。
顔を近づけて剣をじっくり見ると、透明な薄い膜のようなものが張られている。
これが魔力なのだろうか?
魔力を
その感覚が、魔力を消費したと考えると辻褄は合う。
まあいい、とにかく出来たのなら早速試しだ。
格好を付けて、侍が抜刀するように腰から右手で剣を振るいながら大袈裟に構えを取った。
すると……。
ひゅんっ!
「ひゅん?」
何だ、今の音。
ていうか、今前方に何か飛んでいかなかった?
なんて考えていると、
「……え。ええええ!」
遠目に建っていた柱が崩れ、こちらに倒れてくる。
「うおおおお!」
【
あ、あぶなかった……。
まあ、柱はダンジョン再構築されるだろうし大丈夫だろう。
最悪の場合、知らんぷりしよう。
それにしても、今のはもしかすると……
「ファイターの石像が使ってた技か」
石像は、遠くから上段に構えて、衝撃波のような斬撃を飛ばしてきていた。
今の俺も、格好を付けて大袈裟に剣を振るったことで斬撃が飛び、柱を斬り崩したのだと思う。
そうか、石像が上段の構えから飛ばしていたのは魔力だったんだ。
その証拠に、剣に張られていた魔力に膜がなくなっている。
持続させるには常に魔力を流し続けるか、その都度魔力を流すことが必要なのだろう。
俺はたまたま発見したが、これは【武装強化】の応用、といったところだろうな。
こちらはまだまだ色んな使い方が出来そうだ。
「ふむ」
とりあえず、これで一応のスキル検証は終了。
まとめると、
「スキルすげえ……!」
この一言に尽きる。
これも、【転職の欠片】を見つけてくれたユヅネのおかげだな。
「よし、帰るか」
そのユヅネも、今頃は寂しく家で待っていることだろう。
少し遅くなってしまったので、急ぎ目に帰ろう。
「……おろ?」
だが一歩踏み出すと、体が若干重く感じた。
いや、違うな。
【
「……ふう」
それに、若干の体の疲れも感じる。
それほど問題はないが、感覚的には全力で50m走を一本走った感じ。
「使い過ぎには注意が必要か」
魔力について理解は深くないが、【武装強化】に用いられた魔力は、俺の中から出していることは明白。
【
「これから色々と学んでいかないとな」
楽しみと警戒心、両方が入り混じった感情を持って、俺は帰路に就いた。
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