141 レベル100

 僕は今レベル9だ。シャリもレベル9。


「今日のうちにどこまで上げられるかな?」

「お兄ちゃんがレベルブーストして10でしょ、ここの四人がデポジットして14。その時シャリはレベル8になるから……」

あかりが紙に計算しているのを覗き込む。


「そこから、トランスファーを4回で僕がレベル10、シャリが12になるから、そのあとブーストとデポジットが切れたら、僕がレベル5でシャリが13」

ということだね。


「それでは今日はそこまで進めましょう」

王女が僕に近づいて、僕の頬にキスをする。


「レベルブースト!」


・・


「で、明日以降だけど」

「お兄ちゃんは一日どれだけレベル上げできる?」

「ちょっと待って」


 いま4人からデポジットされているレベルを返却することを頭に念じてみる……と、一個ずつ返却できた。

「デポジットは効果時間前に繰り上げ返済できるな」

「そうなると、レベルを1の状態を保ってレベリングすれば……」

あかりが計算する。


「各階のボスがリポップするまでの時間も考えると、一日9レベルぐらいはレベル上げできそうよ」

「となると、理論上は10日で90レベル上げられるのか!」

シャリが僕を見て微笑む。

「おにいちゃんがんばるよ。シャリ」


 ところで。


「シャルロット!」

「なに」

「とりあえず、明日は部下を貸してくれないかな。15人ほど」


(0日目、フィン:レベル5,シャリ:レベル13)


・・


 翌日は王女の部下にレベルを貸してもらう。まず10人ほどデポジットしてもらう。王女の部下なので女子が多いけど男もいるが、まあ頬にキスなら挨拶みたいなもんだし。


 レベルが15になったのでさっそく

レベル譲渡トランスファー

二回ほどやって、シャリが15、僕が13に。そこから5人追加でデポジット。

レベル譲渡トランスファー

三回でシャリが18、僕が15。


 ここからシャリとあかりとメイと王女が残っている。四人にデポジットしてもらって王女にブーストしてもらえば僕のレベルは20まで行ける。


レベル譲渡トランスファー

三回で、シャリのレベルは20になった。デポジット切れれば21。これで今日のレベル譲渡トランスファーは終了。

 なお、僕のレベルはブースト切れたら16だけど、デポジットで19借りてるから返したらマイナス3になる。自転車操業!


「それじゃ、ダンジョンに行こう!」


 王都ダンジョンの前にはメイがプレハブの基地を建設済みなので、あかりが転送ゲートを開く。ダンジョンに入るとあかりのエレベーターで一階ボス部屋前に。


 レベルを15ほど繰り上げ返済してレベル1になった状態で、一階ボス部屋の前に迫撃砲を並べる。


「お邪魔しまーす!」


 扉を蹴り開けると、ボス部屋に米軍のような火力をぶち込んだ。


・・


「レベル3になった!」

「次は二階ね」

2レベルほど繰り上げ返済して次へ。


 この日はマイナス3まで食い込んでいたレベルを3まで戻して終了。デポジットで借りていた分も全部返済した。すっきり!


(1日終了時点、フィン:レベル3,シャリ:レベル21)



 二日目はパウル司教に話をつけた。こっちのほうが話が早かったな。


「なんだよそれ!」

「レベルを上げるんだから神の道ですよ!」

「うーん、まあ」

謎の説得脅迫をして25人ほど出してもらった。


 結果、出してもらった25人とシャリとあかりとメイと王女も足して29レベルをデポジットしてもらい、ひたすらレベル譲渡トランスファーを繰り返すこと8回。


「今日のノルマは終了!」

ということでダンジョンへ。現在の借金はマイナス5だ。返さないと死んでしまう。


 結果、三階のボスまで倒してどうにか借金返済を終え、もとのレベル3まで戻した。


(2日終了時点、フィン:レベル3,シャリ:レベル29)



 3日目は40人出してもらった。パウル司教はもう諦めた様子で協力してくれる。

 レベル譲渡トランスファーは10回。


(3日目終了時点:フィン:レベル3、シャリ:レベル38)


・・


 4日目は50人でレベル譲渡トランスファーは10回。


(4日目終了時点:フィン:レベル3、シャリ:レベル48)


・・

・・

・・


 9日目は102人出してもらった。

 レベル譲渡トランスファーは12回。


 この時点で僕のレベルは借金8になっている。ダンジョンに移動。


 ドカドカドカ


 レベルを9上げて、借金返済した!そうそう、最後の恩恵はえっと……


(9日目終了時点:フィン:レベル1、シャリ:レベル100)


・・


「これでもうおにいちゃんと一緒に行けるね」

シャリが抱きついてきた。レベル100ともなると抱きつく力も強いな。レベル0だった時とは大違いだ。


「そうだな、シャリ」

「日本、楽しみだね」

「そうだね」

「ずっと一緒だよ」

「うん」

「約束だからね」

シャリの目を見る。


「約束するよ」


――


フィン:レベル1(人間:転生者)

・恩恵:レベル判定、レベル移譲、気配察知、槍使い、投擲、格闘、縮地、精神耐性、スタミナ向上、ロケート、手斧使い、スコップ、庇う、耐久力向上、罠スキル、炎、クリーン、テイム(妖精)、言語理解、耐熱、隠ぺい、盾術、力持ち、覚醒、突撃、予知、解錠、反射、恩恵奪取、メッセージ、ライト、騎乗、スイッチ、疾走、跳躍、水、氷、毒無効、毒消し、巨大化、縮小化、風、土、クリティカルヒット、環境耐性、タイムストップ、召喚、保留[保留中×82]、レベル預かり、恩恵譲渡(new)


シャリ:レベル100(人間)

・恩恵:癒し(フィンに効果2倍)、プロテクション(フィンに効果時間2倍)、攻撃力付与、メイス使い、リワインド、状態異常耐性、催眠術、盾術、完全回復、変身、力場障壁、ビジョン、おにいちゃんと一緒×91


――

挿絵はシャリちゃん「日本、楽しみだね」

https://kakuyomu.jp/users/yamamoriyamori/news/16817330654443552966

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