第三部第六章 日本へ続くダンジョン

123 西の果ての町(人物紹介付き)

ここから第三部後半なので人物紹介

――

フィン:主人公で転生者

 日本の18歳の知識を持つ14歳。前世の記憶はない。レベル譲渡トランスファー。レベル上がったり下がったり繰り返し今はレベル4。恩恵はたぶん41個


シャリ:妹。実際は従兄弟の子

 お兄ちゃんを守る!殴れて変身もできるヒーラー。レベル8


あかり:日本での妹を名乗る転生者

 見た目女子高生のエルフ。ショタコンでオタクだけどお兄ちゃん大好き。斥候系攻撃魔法使いだが最近は空間魔法に凝っている。レベル9


メイ:年下で巨乳の転生者

 元中華系コスプレイヤーの核物理学専攻大学院生だった13歳。秘密基地建造中。準男爵になった。錬金術師でレベル8


シャルロット:第三王女

 レベルが上がらなくて死にそうだったが今となってはレベル7。人類の行く末を案じているがヴィーガンなので魔物も殺さない。


エリー:王女付きの騎士

 シャルロットのお付きの騎士


パウル司教:転生者

 コンクラーベでの大司教当選を目指す。前世は多分インテリヤクザ


大司教

 死んだはずだけど石の中にいた

――




 西の果ての町はさすがに国境だけあって堅固な城壁に守られているけど、僕らは王女の書いた通行証があるから問題なく入れる。まあ問題あっても入れるんだけどね。


 この町は人口数千人ぐらいかな。それほど大きいわけではないけど国境らしく商人らしい人々で賑わっている。


「まずは宿を取ろうよ」

「あっちって言ってたよお兄ちゃん」


 本当は魔法陣を常設で設置するために家を借りるか買うかしたいところだが、宿でも半年分ぐらいお金払えばいいか。さっき城門の兵士にいい宿がないか聞いておいたので行ってみる。


 町で一番いい宿屋についた。窓もガラスが入っていて明るくて広い。ちょっと高かったけど二階の続き部屋を借りた。一室は荷物を置くので掃除は不要と言っておき、念のために中からタンスやベッドを動かして扉を塞いでしまう。あかりが床に魔法陣を書いて王都へ転移する。しばらくしてメイを連れて帰って来た。


「みんな元気だった!?」


 メイのテンションが高い。大きな旅行鞄を持っていてすっかり旅行気分な感じだ。家には王女と別荘に行くことにしてあるとのこと。


 魔法陣部屋は出口をふさいでしまったので、あかりに転移魔法で宿の外に出してもらう。まずは情報収集だ。僕とシャリはダンジョンについて聞く。あかりは町の周りを見てくるって。メイは市場調査に行くと言ってる。それではスタート。


・・


 冒険者ギルドみたいなものがあれば簡単なんだけど。衛兵、武器屋、薬剤師(というかアルケミスト)に聞いて回った結果、だいたいダンジョンの位置が分かった。夕食前に集まる。


「ではみんな今日の収穫を発表でーす」


「まず僕から。ダンジョンは山の中にあるらしくて、やっぱり虫が出るみたい」

「一応町の周りを見てみたけど強い魔物はいないわね」

「私はちょっと買い物してきました……そういえばフィンってライトの恩恵持ってますよね?」

買ってきたガラス皿を机に並べたメイが、唐突に僕に聞いてくる。

「持ってるけど……」

「それって色を変えられます?」

やってみる。赤、緑、青。

「できるね」

「それだったら波長をうんと短くしてみてくれますか」

青から、紫に、そして色が消える。というか肉眼で見えなくなった。紫外線領域だ。


「あ、きれい!」

シャリが思わず声を漏らした。


 机の上でガラス皿の一つが緑色に光っている。紫外線蛍光のガラスなんだ。なんか聞いたことあるな。


 メイがメモを取り出す。

「えーっと、これを買った店はと……」


・・


 翌朝、調査に行ったメイと別れて兄妹三人でダンジョンに向かう。踏み分け道を10kmほど歩いてダンジョンらしきところに来た。というか、柵がしてあって小屋が立っている。


「あのー、ダンジョン入りたいんですけど」

僕が呼びかけると兵士っぽい人が出てきた。


「子供じゃないか。悪いこと言わないからやめときな」

「でも僕たち王都のダンジョンも入ったんですよ」

「ここのダンジョンは甘くないんだ。死んじまうぞ」


 らちが明かないので作戦を考えよう。また来ますと言ってちょっと離れる。


 ちょっと考えてみる。あかりはエルフだし年齢不詳だからまあいいだろう。僕も大人と言い張ればなんとか。シャリが見た目の平均年齢を引き下げてるんだよな。


「シャリ、ちょっと変身してくれない?」


・・


「こんにちは。ダンジョン入りたいんですけど!」

20歳ぐらいの妙齢の女性とエルフと若い男の三人パーティー。


「お姉さん、ここのダンジョン危ないぞ。大丈夫なのか?」

女性が手に持ったメイスを立ち木に振ると、立木が折れて倒れる。


「大丈夫です」きっぱり。


「わかったから。お姉さん気を付けろよ」

作戦成功だ。


 三人でダンジョンを歩く。シャリに言う。

「もう元に戻れば?」

「シャリはこのままでもいいよ」

「なんか落ち着かないんだけど」

シャリがそのまま大人になったような感じ。美人でスタイルがいい。具体的に言うと胸が大きい。

「おにいちゃん」

シャリが僕の腕に抱きついてきた。当たってるんですけど。


「なんか来たよ」

あかりに言われてダンジョンの奥を見ると、なにか丸いものがいくつもやってくる。

「なんだあれ」

「とりあえず、マジックミサイル!」

9本の魔法の矢が飛んでいき、3本ずつ3体にヒット、と思ったら魔法の矢が跳ね飛ばされた!

「えー!?」


 ゴロゴロゴロゴロ


 巨大ダンゴムシの群れが転がってきた。


・・


「タイミングを合わせて、ジャンプで!」

シャリが猫になって僕の上に乗っかる。


「せーのー、ジャンプ!」

跳躍の恩恵で天井辺りまで大きくジャンプ。あかりも身軽にダンゴムシを飛び越えた。振り返ると……


 通り過ぎたダンゴムシが止まってパカっと開いた。そしてまたこっちに来る。丸まって。


 ゴロゴロゴロゴロ


 まずジャンプで躱して……


 行き過ぎたダンゴムシが止まった。パカっと開く。


「いまだ!」

「マジックボルト!」

あかりが攻撃魔法を詠唱破棄で撃ち込むと虫はあっさり消えた。とはいうものの。


「このダンジョンこんな感じなのかな」

「ちょっとしんどいわね」

「にゃー」

いちいち雑魚相手に攻撃魔法使ってたら肝心のボス戦まで持たない。なにか対策を考えないと。


 今日は偵察なのでひとまず宿に戻ろう。


――

挿絵は転送ゲートを使うあかり

https://kakuyomu.jp/users/yamamoriyamori/news/16817330653663352943

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る