121 レベル9

「あなた達、貴族になる?」

帰り道にいきなりシャルロットが言い出した。


「貴族になってくれれば私の遊び相手になれるわよ」

「前も言ったけど僕たちは元の世界に帰りたいんだ」

「別に貴族になったから帰れないわけじゃないでしょ」

うーん、でもなあ。


「なんかめんどくさいことになりそうだからパスかな」

シャルロットが残念そうな顔。


 あかりが、そんなことより言うことがあるでしょ、という顔をしている。


「それよりシャルロット、ちょっとお願いがあるんだけど」

「だって貴族になってくれないんでしょ」

シャルロットがめんどくさそうな顔になった。


「お兄ちゃん!」

「やだよ」

あかりが何か言う前に断る。


「それじゃシャルロット、こんなのはどう?」



「メイ・ハーネスを準男爵の地位と定め、その地位を子孫についても保証するものと……」


 おめでとう!メイ。



「メイ、叙爵おめでとうー」

「私、売られた気分なんですけど」

「だって土地持ちだし、いざこざを回避するにも貴族になっていた方がいいと思うけど」

「そういうのは事前に相談してくださいよ」

「メイが僕に何か事前に相談したことあった?」

「そういう問題じゃないんです」

どういう問題?


「ていうか、お兄ちゃん、早く」

あかりが、そんなことはいいから、という顔をしている。

「あー、はいはい」

シャルロットにメッセージを送る。


「( シャルロット、お願いの件だけど )」


・・


 貴族になったメイがシャルロットを訪問する、というか遊びに行く。僕とあかりがお付きとして同行することになった。正規ルートでお城に入れたのでエリーさんもよかったという顔をしている。


「シャリは来なかったのね」

「さすがに僕と一緒だとちょっとバレそうじゃない?」

王女はふふっと笑う。


「それで、今度はどうやるの?」

「それなんだよね……」

あかりのレベルを一つデポジットにするにしても初めてのレベル7から8だ。


「私、思うんですけど!」

メイがしゃしゃり出てきた。いつの間にか眼鏡をかけている。

「なにかな」

「今までの傾向を見ると、重要な要素が二つあると思うんですよ」眼鏡をクイクイ。

「そうなんだ」

「一つは唾液の量なんですけど」

「そんな気はしてた」

「もう一つはフィンの性的興奮ですね」

「まじで!?」


 メイに思わず突っかかる。

「じゃあなんですか、僕はシャリに性的興奮を覚えていたとでも?」

「違うの?」

「妹だよ」

「あかりちゃんは?」

「多分妹だけど」

「私は?」

「姉?」

「ということは……」

メイが首をかしげる。

「フィンは自分の姉や妹に性的興奮を感じるという……」

「ちょっと待った」

「違うんですか?」

「えっとー」


・・


 あかりがスケスケのネグリジェみたいな服に着替えた。いわゆるベビードールってやつかな。よく知らないけど。


「なんかソシャゲのレアカードみたいな服だね」

あかりを褒めてみるけど、これって褒めてるのかな?

「どのくらいレアかな」

「もちろんSSR」

「うれしい!」

褒めてたみたいだ。


「シャルロット、ちょっとベッド借りるね」

まずはシャルロットにキスしてもらい、レベルブースト。


 そして十分ほど。


 とりあえず思いつく限りな感じであかりとグチャグチャキスしてるんだけど、横でシャルロットとメイが話をしているのが気になってしょうがない。

「メイはどう思う?」

「もう少し性的興奮が足りてないかと」

「それは大変」

シャルロットもベッドに乗り込んできた。ぼくの脇に寝っ転がると耳元で囁きかけてくる。

「おにいさんは何をして欲しいの?」

っていうか、僕はあかりとキスしているので話をできないんですけど。

「こうかな」

シャルロットは僕の手を掴むと自分の胸に押し付けた。

『〇△◇☆%#』

「メイもそっちから」

「はいシャルロット様」

やばい、限界かも。


レベル接続コンタクト!』


 あかりとの間にレベル回路が形成される。


レベル譲渡トランスファー


 成功。出し切った感。


「お兄ちゃん!」

「なんでしょう」

「大好き!」

あかりに押し倒された。


「あのー、私の部屋は不純異性交遊の場じゃないんですけど」

『あなたがそれ言います?』


・・


 メイの実験室でレベルアップパーティー開催ということで、僕とシャリで城壁までシャルロットを迎えにいく。それから実験室まで来たところ。室内はがらんとしている。


「あれ、今回は飾り付け無し?」

「準備ならできてるわよ」

あかりとメイがニヤニヤしている。


「それじゃみんなここに立って」

みんなで固まると、あかりが長い呪文を唱える。床に書かれていた魔法陣が光る。その光が強くなり目を開いていられないほど輝き……


「着いたわよ」

目を開くと、他の部屋にいた。ここは……


「メイの本拠地だ!」


――


フィン:レベル4(down)(人間:転生者)

・恩恵:レベル判定、レベル移譲、気配察知、槍使い、投擲、格闘、縮地、精神耐性、スタミナ向上、ロケート、手斧使い、スコップ、庇う、耐久力向上、罠スキル、炎、クリーン、テイム(妖精)、言語理解、耐熱、隠ぺい、盾術、力持ち、覚醒、突撃、予知、解錠、反射、恩恵奪取、メッセージ、ライト、騎乗、スイッチ、疾走、跳躍、水、氷、毒無効、毒消し、巨大化、縮小化


シャリ:レベル8(人間)

・恩恵:癒し(フィンに効果2倍)、プロテクション(フィンに効果時間2倍)、攻撃力付与、メイス使い、リワインド、状態異常耐性、催眠術、盾術、完全回復、変身、力場障壁


あかり:レベル9(up)(エルフ:転生者)

・恩恵:鑑定、初級攻撃魔法、中級攻撃魔法、隠密、耐寒、マッピング、詠唱破棄、空間転移、アカシック・アクセス、エレベーター、転送ゲート(new)


メイ:レベル8(人間:転生者)

・恩恵:衣装製作、アイテム化、投げナイフ/ダーツ使い、エンチャント、形状加工、紙の神、上級錬金術、アイテム合成


シャルロット:レベル7(人間)

・恩恵:レベルブースト、[?]、[?]、[?]、レベル預かり、[?]、[?]


――

挿絵は「なんかソシャゲのレアカードみたいな服だね」

https://kakuyomu.jp/users/yamamoriyamori/news/16817330653577558680

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