108 二人目のレベル7

「シャルロット、ちょっと相談なんだけど」

「なんでしょう、おにいさん」

「ちょっとベッド借りていいかな?」

「え?」


「いや、ちょっとシャリを寝かさせてほしいんだけど」

「それはいいですけど……」


 着替えたばかりだけどそのままシャリを寝かせる。えっと、ポケットの中に確か……

『あった!』

メイの作ったキャンディーを取り出す。


「シャルロット、もう一個相談があるんだけど」

「なんでしょう、おにいさん」

「ベッドなんだけど、僕にも貸して」

「えーと」


・・


 キャンディーをシャリの口の中に放り込み、隣に寝転がる。


「何が始まるんですか?」

シャルロットは興味津々だ。

「えっと、さっきコツがあるって言ったじゃない。あれの応用編かな」

「それじゃ見てますね」


 もうなんかいろいろなものが気にならなくなってきたので、横で寝転んでいるシャリをよいしょっと僕の上に引き上げる。


「それじゃシャリ、そんな感じで」

「うん、おにいちゃん」


 シャリが僕の唇に思いっきり口を重ねてきた。


・・


 いろいろ細部省略して5分ぐらいかけて涎だらけ。ベッドで失神しそうなシャリを抱きしめたままゆっくりと舌を絡める。すぐ横に肘を置いたシャルロットが身を乗り出して覗き込んでいるんだけど君13歳だよね。わりとR15行為なんだけど。


(・・ おにいちゃん、おにいちゃん、おにいちゃん ・・)


 シャリの声がうわごとのように頭の中に伝わってくる。これ以上Rが上がると危ないのでこの辺で。


レベル接続コンタクト!』


 僕を受け入れたシャリとの間にレベル回路が形成される。はたしてうまくいくか。実験!


レベル譲渡トランスファー


 なんと成功したよ。


・・


 シャリがレベル7になっている。ブーストしたレベルでもOKなのか。夢が膨らみそう。さて、帰るか。それじゃーね。シャルロット。


「おにいさん」

「はいなんでしょう?」

「私も相談があるんですけど」

「なんでしょう?」

「ダンジョンで言っていたコツというものをまだ教わってないんですけど」


 えっと、それはもう終わったんだけど……


「ひょっとして今のがそのコツ?なんですか?」

「今のは上級者編だからあんまり参考にならないかな」

「そういえば前にこの部屋にシャリと来た時も、なにか私にしましたよね?」

「そうだったかな?」

「もう一回、コツを教えてください!」

「今度にしない?」

「人を呼びますよ」

「教えさせてください」


 前回と同じようにシャルロットを立たせる。前に立って、頭の後ろに右手を当てる。左手で軽く腰を抱いて……なんでもう目をとろっとさせてるの?


「そういえば、レベル上がったらシャルロットはどういう恩恵が欲しいの?」

「ダンジョンではレベルが上がりたいと思ってたけど……もう私はいいから人の役に立ちたいですね」

「それじゃ人の役に立ちそうな恩恵を授かるといいね」


 シャルロットの唇に唇を合わせた。シャルロットが僕にしがみついてくる。結構大胆だな。


レベル接続コンタクト!』


 シャルロットとの間にレベル回路が形成される。レベル1だからスムーズだ。


レベル譲渡トランスファー


 余裕で成功。


・・


「二つ目の恩恵を授かりました」

「それはよかった」


 っていうか、よく考えたら駄目じゃん!


「しばらくの間は二つ目は秘密にしといてね!」

一応、隠蔽もかけておく。


 シャルロットに見送られて小部屋の戸棚に入る。そこから狭い通路へ……


 通路を抜けて城壁に戻った。教わった方法で開けて外に出る。


「やっぱり外はいいな!」

「そうねおにいちゃん」


「おかえりフィン、シャリ」

「おかえりお兄ちゃんと、シャリ、え?」


 あかりが硬直する。


「どうしてお兄ちゃんがレベル3になってて、シャリがレベル7なの?」

「これにはいろいろ訳があって」


「なんでいつも私だけのけ者なの?」


・・


 メイの家の裏まで来た。あかりはまだ怒ってる。というかどんどん酷くなってる。


「だから、あかりをのけ者にしたわけじゃなくてさあ」

「だって、メイがレベル7でしょ、シャリもレベル7でしょ、私だけ6でしょ。この中に仲間外れがいます。誰でしょう。はい私です!せいかーい」

あかりが一人でクイズ大会を始めた。


「伸びしろがあるっていいことじゃない?」

「三人で楽しくチュッチュやってなさいよ。ふん」


「あかりちゃん、あのさ」

「なによこのロリ巨乳ビッチ」

お口が悪いですよ。


「深夜だからもうちょっと静かにね」

「どうせガサツな女ですよ」

「それでなんだけど、お部屋まで送ってくれないかな」

僕たちはあかりの転移で部屋を抜け出してきたのだ。


「そこの素敵なお兄ちゃんに鍵開けてもらえばいいでしょ!」


・・


 あかりが冷静になって部屋に入れるまでこのあと一時間かかった。


「あれ、なんでお兄ちゃんレベル2になってるの?」

「だからいろいろ訳があって部屋でゆっくり説明させて」

「いい話でしょうね?」

「もちろん」


――


フィン:レベル2(2 down)(人間:転生者)

・恩恵:レベル判定、レベル移譲、気配察知、槍使い、投擲、格闘、縮地、精神耐性、スタミナ向上、ロケート、手斧使い、スコップ、庇う、耐久力向上、罠スキル、炎、クリーン、テイム(妖精)、言語理解、耐熱、隠ぺい、盾術、力持ち、覚醒、突撃、予知、解錠、反射、恩恵奪取


シャリ:レベル7(up)(人間)

・恩恵:癒し(フィンに効果2倍)、プロテクション(フィンに効果時間2倍)、攻撃力付与、メイス使い、リワインド、状態異常耐性、催眠術、盾術、完全回復、変身(new)


あかり:レベル6(エルフ:転生者)

・恩恵:鑑定、初級攻撃魔法、中級攻撃魔法、隠密、耐寒、マッピング、詠唱破棄、空間転移


メイ:レベル7(人間:転生者)

・恩恵:衣装製作、アイテム化、投げナイフ/ダーツ使い、エンチャント、形状加工、紙の神、上級錬金術


シャルロット:レベル2(up)(人間)

・恩恵:レベルブースト(new)、[?](new)


――

挿絵はシャリちゃんです

https://kakuyomu.jp/users/yamamoriyamori/news/16817330653013897265

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