106 ダンジョン掃除
問題はダンジョンの入り口だ。例の恩恵検知器があるからシャルロットが子供であることがばれてしまう。なんとか誤魔化せないかな。
とりあえず入口のお姉さんの顔を見たら、いつもの人じゃない。この人は、あれ?
「やっぱり来たんだ君たち」
司教の秘書の人がなんでここに。いやまあいいか。
「急いでるんで通してください」
「はいはい。レベル1が4人ね。王国騎士は無料だから」
どうやら話が通じてるっぽい。お金をじゃらっと払って通過。
振り返るとお姉さんが僕にウィンクをしていた。
そしてダンジョン一階。このフロアはゴミみたいな雑魚魔物ばっかりなんだよね。
「で、どうするのよお兄ちゃん」
あかりが僕に聞いてくる。
「これからダンジョンの掃除をしようかと」
「掃除?」
・・
「そういえば、さっきから気になってたのよそのモップ」
僕は家を出た時からずっとモップを持っていたのだ。誰も突っ込んでくれなかったんだけど。
持っていたモップをシャルロットに渡した。このモップには特別な仕掛けがしてあってね。
「なんですか、あのモップ?」
メイがこっそり聞いてくる。そりゃそうだな。
「実はあれ、テイムで妖精を紐づけてある」
「なにしてくれるんですか?」
「
「そのまんまですね」
「そうなんだけど」
僕は気配察知を使う。このダンジョンの一階には確か……いた!
天井に小石を投げると、天井からそれは落ちてきた。床に当たってペチャっという音。
「シャル、あれ誰か踏むと危ないからそのモップで掃除しといて」
「え?あ、はい」
僕が床に落ちたドロッとした塊を指さすと、シャルロットがモップを持って近づく。エリーさんが駆け寄ろうとするのを制止する。気が付かれたらアウトだ。シャルロットに。
「そのままモップで拭いちゃって」
「はい」
シャルロット姫はモップでそれを拭いた。
「これでいいですかおにいさん?」
「うん。その調子で他も掃除しよう」
「はい!」
そう、前に来た時にスライムをクリーンしたら消えたのを覚えてたんだけど、やっぱりテイムした妖精のクリーンも有効らしい。原理は一緒だしね。
・・
ダンジョンの一階を歩き回る。一階とは言えうっかりすると死んでしまう
「どうして私は大人になれないんですかね?」
ダンジョンを歩きながらシャルロットと話す。
「人にはそれぞれレベルっていうものがあってね、恩恵を授かるっていうのはレベルが上がることなんだ」
僕は姫に説明する。
「シャリもメイもそうだったんだけど、時々レベルが上がらない子供がいるんだよ。そういう子供はそのままだと大人になれないで死んでしまうんだ」
「それが妖精の子?」
「そう。シャルもそうだよ」
「シャリやメイはどうなんですか?」
「彼女たちはレベルが上がったからもう大丈夫」
僕がそう言うと、シャルロットは納得できない顔をする。
「妖精の子はレベル?が上がらないんじゃなかったんですか?」
「まあコツみたいなのがあって」
「それじゃ私もコツがあればそのレベルを上げることができるんですか?」
「うん。まずは掃除してここをきれいにしてから教えるから」
「そうなんですね!」
「頑張って!」
みんなで周囲を警戒する中、僕が次々と天井のスライムを床に落とし、それをシャルロットが妖精のモップで掃除をする。次々と黒い煙が立つ。
十か所ほどのスライムを掃除をしたとき、シャルロットの頭の上で僕にだけ見えるレベルゲージの色が一瞬光った。
「もういいよシャルロット。掃除はおしまいだ」
あかりがシャルロットを鑑定する。
「成功してるよ!お兄ちゃんすごくない?」
「まあね」
――
フィン:レベル4(人間:転生者)
・恩恵:レベル判定、レベル移譲、気配察知、槍使い、投擲、格闘、縮地、精神耐性、スタミナ向上、ロケート、手斧使い、スコップ、庇う、耐久力向上、罠スキル、炎、クリーン、テイム(妖精)、言語理解、耐熱、隠ぺい、盾術、力持ち、覚醒、突撃、予知、解錠、反射、恩恵奪取
シャリ:レベル6(人間)
・恩恵:癒し(フィンに効果2倍)、プロテクション(フィンに効果時間2倍)、攻撃力付与、メイス使い、リワインド、状態異常耐性、催眠術、盾術、完全回復
あかり:レベル6(エルフ:転生者)
・恩恵:鑑定、初級攻撃魔法、中級攻撃魔法、隠密、耐寒、マッピング、詠唱破棄、空間転移
メイ:レベル7(人間:転生者)
・恩恵:衣装製作、アイテム化、投げナイフ/ダーツ使い、エンチャント、形状加工、紙の神、上級錬金術
シャルロット:レベル1(up)(人間)
・恩恵:レベルブースト(new)
――
ダンジョン掃除の挿絵はこちらです
https://kakuyomu.jp/users/yamamoriyamori/news/16817330652931560472
――
次回より新章
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