90 レベル7

「それでなんだけど、私のレベルは戻してくれるのよね」

あかりが当然という顔で聞いてきた。質問じゃなくて確認ですね。


「いいけど、シャリのレベルも戻さないと」

僕のレベルは2上がっているから、この二人に一回ずつはレベル譲渡トランスファーできる。


「おにいちゃんそれなら」

「なんだいシャリ」

「メイちゃんのレベルも上げてあげて」


 僕のレベルが5。シャリが4、あかりが5、メイが6。


 バランス派の僕の気持ち的には「僕2、シャリ6、あかり6、メイ6」にしたいんだけど対象は+1レベルの人までという制約があるからできないんだよな。


 でも「僕2、シャリ5、あかり6、メイ7」はできる。


「それじゃ、メイのレベルを上げて、次はあかり、最後にシャリという順番で」

「なんか納得できないんだけど」

あかりがジト目で見る。


「あかりはレベル6に戻れるし問題ないでしょ」

「そういうことじゃなくてね」

「いつも頑張ってるあかりは偉いな」

「お兄ちゃんそうやっていつも誤魔化してない?」

「みんな、欲しい恩恵はちゃんと考えててよ」


・・


「レベル6から7って初めてだから手順がよくわからないんだよ」

メイと相談する。


「こないだのあれをもっといっぱいドバドバでグチョグチョにやればいいんですよね?」

「理論的にはそうかな」なんの理論か知らないけどね。

「それなら問題ないです!」


 妹たちには部屋から出てくれと頼んだんだけど、次は自分の番だし手順を確認しないととあかりが言い張り、シャリと一緒に両脇で見ていることになった。この恥ずかしさはどうしたらいいんだろう。


「まず水分を取ってください」

メイは妙に手際がいいな。いつの間にか白衣を着て眼鏡をかけている。


 ベッドにあおむけになった僕の上にメイが四つん這いで乗っかってきた。白衣の合わせ目からちろっと肌が見える。胸が白衣を押し下げ、谷間から奥の方が覗く。あ、これナース白衣じゃなくて実験用白衣なんだね。眼鏡と似合うかも。それはともかく白衣の下が裸ってどういうこと?


「それじゃ始めますよ」


 メイが僕に抱きついてきた。眼鏡が当たらないように僕の口に角度をつけて自分の口を合わせてくる。当たってる胸の感触が気になってしょうがない。さっきちらっと見えたのが印象に残りすぎ。


「おねえちゃん、これNTRって言うんでしょ」

「最近はWSSっていうのよ」


 最初から全開で飛ばしてくるメイ。僕の口に舌を入れてくると舌をべろべろと舐めまわしてきた。甘さと柑橘系の味がする。

 そのままぐちょぐちょを続けてたら、メイの口から僕の口に何かが転がり込んできた。硬いなにか。甘くてすっぱい味。飴玉か。


 メイの背中に回した手に力を入れると、メイもぎゅっと抱きついてきて胸の感触がより鮮明に。えーと、いいかな。二、三回揺すって勢いをつけ、ベッドの弾力を使って、ゴロン。僕が上になってメイを抱いている状態になる。


 僕の口から二人の涎がメイの口にだらだらと流れ込む。メイがちょっとむせそうになった。なんか喉を鳴らす音。

 飴を口に入れたままメイの舌をぐるぐると回すように舐める。しばらく続けてもう飴玉も小さくなったので唾液と一緒にメイの口に返却する。

 そろそろいいでしょうか先生。


レベル接続コンタクト!』


 メイは僕を受け入れている。メイと僕との間にレベル回路が形成。ここからが本番。


レベル譲渡トランスファー!』


「好~」

「なんか疲れた」

「あと二人残ってるんですけど」

「おにいちゃん水分水分」


・・


 水分取って一休みしてからあかりの番。レベル5から6は三回目なので慣れた感じ。そのあと休んでつぎはシャリ。続けて三回戦とかちょっと厳しんですけど。こっちは一人なので。頑張って終わらせたけど。


「で、みんな恩恵はどうしたの?」

「シャリは盾術にしました」

「え、すごい癒しって言ってなかった?」

「それにはレベルが足りないみたいで第二希望で」

そういう制度あるんだ。毒消しはどうしたんだろう。


「私はさっきの本を使ったわよ」

「何にも書いてなかったんでしょ。何の本だったの?」

「何にも書いてなかったから表紙に空間魔法って書いて読んでみたの」

「強引だね」

それで成功したっぽいのでそれ以上は突っ込まない。


「それでメイは?」

「この服見てわからないですか?」

えっと、裸白衣で何を?それとも眼鏡?ていうかよく見ると実験用眼鏡だな。


「錬金術です!」

なんか凄そう。

「それってアルケミストとは違うの?」

「それの上級版ですね」


「それじゃみんなお疲れ。今日は寝よう」

「これからレベルアップパーティーですよ」

えー、元気だな。


「僕はレベル下がったし疲れたから出なくてもいい?」

「お兄ちゃんは寝てていいわよ。私たちでこれから女子会するから」


 帰り道あんなに疲れてたのになんでそんな元気なの?


――


フィン:レベル2(3 down)(人間:転生者)

・恩恵:レベル判定、レベル移譲、気配察知、槍使い、投擲、格闘、縮地、精神耐性、スタミナ向上、ロケート、手斧使い、スコップ、庇う、耐久力向上、罠スキル、炎、クリーン、テイム(妖精)、言語理解、耐熱、隠ぺい、盾術、力持ち、覚醒、突撃、予知


シャリ:レベル5(up)(人間)

・恩恵:癒し(フィンに効果2倍)、プロテクション(フィンに効果時間2倍)、攻撃力付与、メイス使い、リワインド、状態異常耐性、催眠術、盾術(new)


あかり:レベル6(up)(エルフ:転生者)

・恩恵:鑑定、初級攻撃魔法、中級攻撃魔法、隠密、耐寒、マッピング、詠唱破棄、空間転移(new)


メイ:レベル7(up)(人間:転生者)

・恩恵:衣装製作、アイテム化、投げナイフ/ダーツ使い、エンチャント、形状加工、紙の神、上級錬金術(new)


――

メイの挿絵イラストはこちら

https://kakuyomu.jp/users/yamamoriyamori/news/16817330652225590304

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