最終章 ヒーローの居る世界

第20話最終章1 決戦の日

グレイザーは新たな姿『ブレイブフォーム』にチェンジし、ダイヤモンドゲイラーを圧倒して勝利した。


それから数週間後……。


守は大学の試験期間が始まった。

「よし、忘れ物はないな」

守は準備を整え大学に向かった。


その途中、道で工事をしていた。

「どうぞー、お通り下さーい」

警備員が声を掛ける。

「あっ、すみませ……え?」

守が通ろうとすると、そこに居た警備員はガイ。

「えぇ?ガイ?何してんの?」

そりゃ驚く……。

「バイトだ……」

ガイはバイトを始めていた。

「何でここで?」

守が聞くと……。

「ここのバイト、日給1万円貰えて給料いいんだよ」

ガイも大分この世界に馴染んで来たようだ。

「へぇ〜……あっ、じゃあ俺大学行くからまた!」

守は急いで大学に向う。


その頃、警視庁では会議が開かれていた。


「前回のゲシェードの怪人を倒してから数週間、あれ以来ゲシェードは現れていません。しかし、奴らはまだ全滅した訳ではありません。今の内に我々も最善の策を要するべきだと思います」

そう話すのは葛城。

更に別の刑事も立ち上がり話し出す。

「あの〜それなんですが、具体的にどう言った策を用意するんですか?前回現れたゲシェードの怪人には電撃弾も通用しなかった訳ですよね?」

また葛城は話す。

「前回電撃弾が通用しなかったのはあの怪人の特性によるものです。今、科警研と藤波博士が協力してより強力な武器を開発中です。それが完成すれば怪人を倒せる武器を我々も持つ事になるでしょう」

そう、葛城が言うように藤波博士と科警研が協力し、新たな装備を開発中だった。


その頃、ゲシェードのアジトでも新たな動きが起きていた。

バルバが何かを持ってアルギルスの元にやって来た。

「アルギルス陛下。ようやく完成しましたよ。全員分の強化薬が……」

「ほぉ……それでは早速使ってみるがいい……」

アルギルスの指示でジェイガが強化薬と呼ばれる薬を1つ取った。

「まずは私が……丁度決着を着けたい相手が居ますから……使わせて貰いましょう」

そう言ってジェイガは強化薬を持って出ていった。

「リラ、君も受け取りたまえ」

そうバルバが促す。

「フンッ……。ん?3人分あるのだな……」

そう、バルバはギレンの分も用意していた。

リラは1つ取る。

「リラ、1つはギレンに渡しておいて貰えないか?」

「わかった……」

リラはギレンの分も手に取り部屋を出て行く。

「バルバよ……あの薬を使うとどうなる?」

アルギルスが聞くと……。

「フッフッフ……まぁ、それは見てのお楽しみという事で……」

バルバは不気味に笑う。

バルバはこの強化薬をずっと作っていたようだ。


その日の夕方、ガイはバイトを終え帰っていた。

「お兄ちゃーん!」

後ろから声がして、ガイが振り返る。

まなみが走って向かって来た。

「ああ……まなみちゃん」

更にまなみの後ろからお母さんも来た。

「あらっ、ガイさん。どうしたの?」

「どうも……バイトの帰りです」

すると、お母さんは嬉しそうに……。

「あらっ!バイト始めたのね!良かったじゃな〜い!」

「ええ……」

この親子との出会いもガイを変える要因になったようだ。

「お兄ちゃん一緒に行こっ!」

まなみもすっかりガイに懐きガイの手を引いて行く。

ガイ達が歩いていると、目の前に突然ゲイラーが現れた。


現れたのは巨大な鎌を持つデスサイズゲイラー。

その姿はまさに死神のようだった。

「何っ!?何だコイツは!?」

デスサイズゲイラーがまなみと母親に襲い掛かる。

「止めろっ!」

ガイがデスサイズゲイラーを止めようとするが、ジェイガが現れそれを邪魔する。

「貴様ー!!」

ガイがジェイガを睨み付ける。

しかし、ジェイガは不敵に笑みを浮かべる。

「フッフッフッ……貴様とこの親子が親しい事は既に調査済みだ。さぁ、いよいよ我々の決着を着けようじゃないか。明日の正午貴様がこの星で初めて現れた採掘場に来い。それまではこの親子の無事を約束しよう。ただし……1分でも遅れれば……わかるよな?」

ガイはまたジェイガを睨み付ける。

そして、ジェイガはまなみ親子を拉致し消えて行った。

「ジェイガ……絶対に許さん!!」


ガイはそのまま藤波博士の家に向かった。


藤波博士の家には守も呼ばれ更に葛城と牧田もやって来た。


そこでガイは事情を説明。

「ジェイガ……許せない……」

そう声に出して怒りを露わにしたのは守だった。

葛城がまなみ親子を救出する為の作戦を考案。

まなみ親子を救出する班とジェイガと戦うガイを援護する班に別れる作戦を提案するが……。


「いや……ジェイガは俺1人で倒す」

ガイはその作戦を却下した。

ジェイガはガイの妹を殺した張本人。

ガイは自分の手で決着を着けると決めていた。

妹を殺され、今度はまなみをも危険に晒して居るジェイガを許す事は出来なかった。

そしてガイは皆に向かって深く頭を下げる。

「頼む……力を貸してくれ……。ジェイガは俺が必ず倒す。だから皆はまなみ達を助けてくれ……」

今のガイを突き動かすのは復讐心だけではない様だ。

この世界での出会いがガイを大きく変えていた。

しかし、葛城がある事を思い出す。

「そういえば守君。試験は大丈夫なのか?」

そう、守はまだ試験期間中だった。

「あ〜え〜っと……熱でも出た事にして追試受けますよ!」

と守は提案したが……。

「ダメだ!学生は勉強が本分だろ!ここは我々に任せて試験を受けて来なさい!」

葛城の言う事は確かに正論だが、この状況でそこまで言うか……。

守は葛城の勢いに押され渋々承諾。


−翌日−


守は大学に向う。


ガイも準備をし決戦の場に向う。

ガイの準備とは……。

朝ごはんをしっかり食べる事だった……。

「朝から良く食うなぁ……」

藤波博士がそう溢している内に食卓の食べ物はどんどん無くなっていく。

「ああ!おいおい、私の分まで食べるなよ!」


警視庁では葛城が万全の体制を整えていた。

今回はまなみ親子の救出が最優先なので、必要最小限の人数だけ集まった。

「ではこれより我々はゲシェードの幹部ジェイガとの決戦に向かいます。我々の任務は人質の救出ですが、気を引き締めて向かって下さい」

そして、葛城達警察隊が出動。

勿論装備は電撃弾入りのライフルだが、今までの物と変わらないので、恐らくゲイラーを倒すまでは行かないだろう。

それでも人命を守る為に警察官達は戦いに向うのだった。


そして、正午……。


ガイが決戦の場、採掘場に到着。

「フンッ……ちゃんと来たな……」

ジェイガが、ガイを挑発する。

「貴様を倒す為なら……地獄まででも行ってやる!」

「フンッ、あの親子はあそこだ!」

ジェイガが指差した先に磔にされたまなみと母親の姿があった。

更にはデスサイズゲイラーが鎌を向けていた。

「お兄ちゃん助けてー!」

まなみが必死に声を出しガイに助けを求める。

「待ってろ!今助ける!……ジェイガ!貴様だけは許さん!!」

ガイは『変身』。

復讐の騎士ガイオー登場。

その姿を見たまなみと母親は驚く。

そして、ガイオーとジェイガの一騎打ちが始まった。

ガイオーは『ガイソード』を手にジェイガに斬り掛かる。

ジェイガも右腕から剣を出し剣術で戦う。

「ハッハッハッハッ!妹を助けられなかった哀れな兄が、良くここまで成長したもんだ!」

ジェイガの挑発は続く。

「貴様ー!!」

ガイオーの怒りが爆発。

ガイオーは『バーニングフォーム』となってジェイガに攻撃。

『バーニングブレイド』に持ち替えジェイガを追い詰める。

しかし、ジェイガは余裕の表情を崩さない。

「おいおい……いいのか?考え無しに攻撃して……こっちには人質がいるんだぞ?」

ガイオーはハッとして攻撃を止める。

まなみ達の方を見るとデスサイズゲイラーが鎌でまなみの首を掻き切ろうと構えていた。

「止めろ!」

「よそ見をしてていいのか?」

ジェイガがガイオーに攻撃。

まなみに気を取られてたガイオーはジェイガの攻撃を喰らった。

ジェイガの剣がガイオーの腹を貫いた。


「ぐっ……、きさ……ま……!?」

倒れるガイオー。


続く……。

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