脅しと隠れ蓑

カラン


「いらっしゃ...なんの用だ?」

「黒いスプレーをな」

「ハッ...50シークより10,000,000CPの方が高いんだがね」


ここまでは予想通り


「3人と2人」

「?」

「用心棒が1人にゴロツキが2人、後はお前の...分かるな?」


無言でショットガンを構えられる

目撃情報でフリューデンを暫く足止めしたい


(監視カメラは...ヨシ)


「なーに、こちらとしては穏便に済ませたいんだが」

「うるせぇ」

「350,000CPはくれてやる、代わりに黒いスプレーを寄越せ、それだけで家族が助かる」

「......」


無事2本出来た


「店の裏手に縛ってある、ゴロツキはバンカーゴミ箱の中だ」

「...8分だ」

「十分すぎる」


そのまま店を出てトラックに向かう


(思ったよりすぐに終わったな)


出来るだけ急いで、しかしあまり音を立てず見つからない様に走る


「おい猿」


足を止めてしまった


「...なんだよ」


後ろにガタイの良い野郎が一人


「兎のシチューは美味かったぞ、え?」

「...次は俺の番か?」


どうやらコイツらはネルを捕まえたらしい


「あぁそうだ」


《白川テック製アーミーナイフを展開します》


「あー、言っとくがアンタはもう詰んでるぞ?」


ナイフを出しただけなのに切り札を切った


周りからを持った奴らが6人くらい出てくる


「大人しく金になって貰おうか」

「どーかな」


相手にするのもバカバカしい


「ブレイク」


ブーツで少し斜めに飛び上がり、ビルの壁を軽く蹴ってゴリラの真上に移動、


「インパルス25%」


落下して至近距離から脳を衝撃波で揺さぶり気絶させる


「なっ」


周りの奴らもいきなりの事で反応出来ていない


気絶した男の顔面を足場にして集団のヒョロイ奴に接近

そのままナイフの柄で顎を折る


「クソッ」


別の奴が僅か5メートルのをしようとしてコッキング


「ドアホ」


トリガーを引いてもバレルを蹴り上げられ外してしまう

そのままスコープを掴んで奪い、ストックを持ち銃身で殴ってダウンさせる


(さて次は...ってあれ?)


他の4人は逃げてしまった


「...まぁ所詮Fbkで稼げないシロートだもんな」


見た目からしても職にも就けていないらしい

そんな奴らにネルが捕まるとは思えない


_____________________


「戻ったぞー」

「おつ...かれ」


早速スプレーでロゴを潰し、少し考えて車体とナンバーも塗り潰す

ロゴを潰されたフリューデンのトラックなんて記憶に残りやすい


「乾くまで待つぞ」

「了解」


暇になったのでマップの航空写真で廃工場か廃倉庫が無いか探す


(駄目だ)


丁度いい所には必ずと言って良いほどマフィアやギャングらしき集団が写っている


(...廃線だったよな?)


この路線の車庫を探して集団が写って無いのを確認し、目的地を決めた


トラックも乾いたので線路の上を移動する


「何処に...行くの?」

「この廃線の車庫」


簡潔に答えてカーブを曲がろうとし、遠くに車両らしいものがこっちに向かって来ていたので線路から降りて、エンジンと車内灯を消してトラックの外で伏せる


『こちら先行隊、今のところ不審物は確認出来ない』


「(なんで廃線に車両が走ってるんだ」

「(...まだ...来る)」


次に歩くくらいの速さで通り過ぎたのは長い筒の様な物を載せた貨車を改造したものだった


「(...もしかして列車砲か?)」

「(...ワケワカンナイ)」


列車砲(?)が通り過ぎたのを確認してネルのデバイスに目的地をマークしたマップを送信する


「この線路を辿るとここに着く、念の為10分後に出発してくれ」

「ハルキは...どうする...の?」

「さっきのを確認してくる」


《Pb社M85MrAMRを展開します》


小走りでさっきの列車を追いかける


(見つけた)


間違えて発砲しないためにマガジンを外し、薬室に弾が入って無いのを確認、伏せてスコープを覗き観察する

やはり列車砲らしく、砲身を標的に向かって転回させていた


『方位補正値±0.5、仰角補正値±1.2』

『補正完了』

『コルネア弾装填』

『装填完了』

『発射カウント5秒前...4...3...2...1...撃て!』


ドゴォォォォォン


鼓膜が破れそうな大音量と共に弾頭が30分前に脱出した基地に落下、水色の閃光を出しながら爆発した


「...」


『破壊確認』

『了解、今日はこのまま2番砲と合流するぞ』

『了解』


列車砲は何も無かったかの様に砲身を畳んで走り去って行った


(...ロゴはAnti"F"...安直だな)

(...コルネアか...)


周囲に人影が無いのを確認し、ネルと合流しに車庫へ向かう


(フリューデンは俺たちを奴らと言っていた...つまりAnti"F"と誤認していた

情報を掴む時間も考えると何年か前には既に存在していたのか)

(となると短期決戦を視野に入れていない...あの組織に入ったら恐らく医療物資は回収されて自由に使えなくなる)


「...鬼畜ゲーじゃねえか」


つまりはフリューデンとAnti"F"、この街の住人に見つからずに最低一週間以上潜伏、フリューデンを潰さなければならない


(成り行きでこうなったから仕方がないか...)


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