準備

「んでどうする」


ボロいペンションの裏で話し合う


「私達...の顔は...拡散されて...いる...だから」

「何処へ行っても捕まるな...」

「...詰んでる?」

「詰んでる」

「フリューデン...潰そうにも...ね」

「時間が足りん」


本当にどうしようもない


「物量で押されたら隠れても見つかるしな」

「...見つかる前提...で...動いたら?」

「そうするとゲリラ戦ぐらいしか...あ」

「物資が...無いよ?」

「ここは犯罪都市」

「あ...」


今自分の顔は悪い笑顔になっているだろう


「現地調達すれば良い」


要は強盗、コソ泥何でもアリだ


「それに...奴らを挑発出来るしな」

「やるなら...とことん...!」

「足掻いてやろうや」


少し希望が見えてきた


「まずは手始めにフリューデンの基地から」

「物資の...調


_____________________


『13番区画問題なし』


上の方で報告する声が聞こえる

現在時刻は午後6時、少し暗くなってきた


意外にも基地を取り囲む柵は鉄条網と警備隊の監視だけだったので目を盗んで楽に侵入出来た


...基地が有る警察(?)とかどんな規模だよ


「(どうなってんだ)」

「(警備...ザル)」


ネルに抱えられて運ばれただけだったので俺は何もしていない


「(武器庫は何処だ?)」

「(さぁ?)」

「(...武器庫より回復物資の方がいい気がする)」

「(弾は...いくらでも作れるし...ね)」

「(...そろそろ降ろしてk)」

「(シッ)」


建物の中から集団が出て来たので物陰に隠れる


『今日の任務は?』

『二人組...じゃなかった二匹のネズミの捕獲』

『分かった...まだ捕まえて無いのか』

『懸賞金も出したんだが一向に見つからないそうだ』

『...ノーツ探知は使わないのか?』

『スラムの周辺で途切れたらしい』

『『...』』

『...奴らか』

『だな』


どうやらもう一つ組織があるらしい


「(どう...する?)」

「(出来れば隠れ蓑として使いたい)」

「(なすりつけ)」

「...」

「(まぁいい...よ)」


『急ぐぞ』

『おう』


「(...ノーツか...)」

「(...何?それ)」

「(俺も知らん、まぁスラムの周辺で途切れたと言っていたからデバイスと関係してそうだな)」


ネルに降ろして貰い集団が通り過ぎたのを確認して、暗い所を伝って集団が出てきた建物に移動する


「ダクトか通気口は?」

「多分...屋上」

「駄目か...」

「...搬入口は?」

「それだ」


警備を回避しながら建物の周りを回ってみたら案の定大型トラックが止まっていた


「武器コンテナ...武器コンテナ...弾薬コンテナ...医療物資コンテナ、これだ」

「かなり...大きい」

「医療物資コンテナはあと3つ...積み替えすればトラック一台分になるな」

「時間が...かかる」

「デコイグレネード持って来れば良かった」

「...陽動なら...任せて」

「......頼む」


クレーンの操作室の位置を確認してネルに合図を出す

音も無く走って行った


(相変わらず速いな)


クレーンの操作室の中に隠れ、陽動が始まるまで待つ


ドォォォン恐らくネルのイーグル


(始まった)


『なんだ⁉︎』

『急げ!』


近くにいたやつらがコンテナから武器を取り出しネルの方へ走って行った


(急げ)


周囲に人が居ないのを確認し、コンテナの積み替えをしていく


「誰だクレーンを動かしているのは!」


舌打ちしながら入って来た人物を蹴り飛ばし、CQCもどきを開始する


レンチを振りかぶった腕を掴み、膝蹴りと肘打ちの挟み込みで手首を攻撃しレンチを手外させ、後ろに蹴り飛ばす

反対の腕で殴られよろめき、そのままタックルを食らってしまった

頭をホールドして、後頭部に落ちていたのを拾い上げたレンチで何回か打撃を入れてようやく気絶させた


(いってて...)


軽い嘔吐感を感じながらクレーンを操作し積み替えを完了する


「ただいまっ!」


ネルが戻ってきたので急いでトラックに乗り込み、エンジンを起動、アクセル全開で飛び出す


『ウワァァァァァァァァ!!!!』


何人か吹っ飛ばしながら鉄条網を破壊して基地から脱出し、直接穴だらけの高速道路に入る


「大...成...功」

「ナイスすぎるだろ」

「でも...まだ終わって無い」

「...みたいだな」


バックミラーに何台か装甲車が写っている


「ネル」

「?」

「運転任せた」

「おけ」


(よく考えたら無免許運転だな)


苦笑しながらコンテナの上に乗る


《Pb社M85MrAMRを展開します》


コンテナの上に伏せて対物ライフルを展開し、追って来ている装甲車の運転手...の腕をレティクルの中央に置く


(...じゃあな)


トリガーを引く


予想通り防弾ガラスを撃ち抜いた弾の衝撃によって、体ごと脳を揺さぶられた運転手が気絶、装甲車が悪路での急な方向転換に耐えられず横転する


同じ事を次々にやって何とか振り切った


「ただいま」

「おか...えり」


運転席に戻り、並走していた廃線のトンネルにトラックを入れてネルを待機させ、フリューデンのロゴを潰す為にスプレーを買いに行った

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