お金と正義とその他諸々

ゴチン


何かが落ちた音で目を覚ます


「イテテ...」


どうやらネルが落ちたようだ


「大丈夫か?」

「なん...とか」

「にしても凄い寝相だな」

「アハハ...」


カプセルホテルの細長い空間からどうやって落ちるんだか


『静かにしろよ!』

「「さーせん」」

((ブーメラン))


寝ている奴を起こしてしまった


「荷物は忘れて無いか?」

「おけ」

「それじゃ行こう」


  CP:1,642,500-1,000=1,641,500

シーク:6,925,470


CPを払ってカプセルホテルを出ようとして


「ッ!」


寝起きのネルを引き戻す


「どう...した...の?」


ハンドサインでホテルの外を示す


「?...!」


ネルも気づいたらしい


外には青と白のパトカーらしき車からフリューデンらしき集団が降りてきていた


(隠れるぞ)

(アソコの...ダクト...丁度いい)


ネルは持ち前の足でダクトに飛び込み


「ブレイク」


俺はブーツの機能でダクトによじ登る


中は埃っぽく屈まないと歩けない


『フリューデンだ!兎と猿の二人組は居ないか!』


「ハルキ」

「おう」


ダクトが上に折れ曲がっている

ネルが先に登り引き上げてくれるらしい


《武装解析...完了

アサルトライフル4名

ショットガン3名

シールド1名》


念の為武装を調べて置く


「よっと」


ネルは軽々引き上げてくれた


『なんだよお前ら!』

『黙れ下郎!貴様も仲間か!』


怒号が聞こえてくる


「ネル、ちょっと待ってくれ」

「ん」


ダクトの出口から屋上に人が居ないか確認する


“ソナーボール

周囲5メートルに武装状態8名”


「大丈夫だ」

「りょ」


屋上に出て詳しく状態を確認する


「さーて、現在の状況を把握しよう」

「今の...に心当たり、は」

「昨日の騒動」

「武装...は?」

ARアサルトライフル4シールド1SGショットガン3」

「現在地」

「Fbkシュティーカ本部近くのカプセルホテル...の屋上だな」

「...近くに...入り組んだスラム...が...ある」


マップを開いたネルが逃走に適した場所を教えてくれた


「あと一つ、今後の予定」

「次の街に行くにも...今のランクに...対して...CPが...多すぎ...る」

「「...」」

「...もういっそフリューデン潰す?」

「名...案」


今思えばこの時は寝ぼけていてかなりぶっ飛んだ思考をしていたと思う


「とりあえずスラムに行こう」

「うん」


屋上から隣のビルに付いている非常階段に飛び移り、登ってフリューデンの位置を確認する


「これは...やり過ぎ」


パトラッシュ多過ぎんだろオイ


ホテルの前に二つ、繁華街の各出入り口に五つ

他にも目視で2キロごとに半径15キロまで検問が設置されている


「...一旦着替えるか」

「だね...」


_____________________


「とりあえずヨシ」

「んじゃ...行こう」


背中のリュックから着替えを出して一回服装を変える

この後も追跡されたら隠れて服装を変更するつもりだ


「ふっ」

「...」


少し息を吐きながら着地の瞬間に前転をする


(...よく怪我しなかったな)


どう見ても8メートル以上ある高さから飛び降りていた


ネルは持ち前の足で音も立てずに着地していた


《クロウ16Nピストル、白川テック製アーミーナイフ、KAWANOスキルチップ:並列思考を展開します》

《Ba社チタンブレード、Ba社製44イーグルを展開します》


「どうしてここまで部隊を投入して来たんだ?」

「多分...フリューデン...は...この都市の奴らを...見下してる」

「つまり見下していた奴らに仲間が殺されたから怒り狂ってると?」

「そう」

「...是正する権力が腐ってたらダメじゃん」

「まんま...野生動物」

「確かにな」


デバイスを開き今の騒動がどんな状態になっているか確認する


「...ん?」


《急上昇ワード:フリューデン懸賞金》


即座に開く


《告知:右の二人組を発見、情報を提供した者には350,000CPを払い…


「ネル」

「?」

「スラムはダメだ」

「え?」


俺達の写真が載っているデバイスを見せる


「...分かった」

「一旦廃屋に隠れるぞ」


…生死を問わず捕縛した者にフリューデンの名の元に10,000,000CPを支払う》

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