遺書

 あなたがこの手紙を読んでいるということは、このCDかあなたの手元に無事戻ったと言うことですね。つまり私がこの世から居なくなっている事を意味するのと一緒。この世から去るのは、本当に辛かったから。あなたは私の心を弄んだ。私と毎日一緒に登下校して、いっぱい話をして、音楽のことも教えてくれ、デートだってした。私はあなたのことが好きだった。あなたも好きだと言ってくれた。大人の関係まではしなかったけど、唇は重ね合わせた。私と一緒に居て楽しいと言ってくれた。私もあなたと居てとても幸せだった。

 でもあなたは嘘をついた。ミサと付き合っていたなんて。ミサは私と正反対。あんな尻軽女とあなたが深い仲だなんて。凄くショックを受けた。私を騙して何がしたかったの?ミサなんて気になる男子に近寄って、自分の体こすりつけて体で騙してるだけの女だよ。みんなそんなこと知ってるのに、あなたはミサと付き合っていた。信じられない。Hも何回もしたってミサから直接聞いたよ。もう汚らわしい。

 あなたに騙されて、私はもう生きていくのが辛くなりました。あなたのことを心底信じていたのに。誰も信じられないし、生きていても仕方が無いです。だから、自分で自分の命を殺します。これはあなたへの復讐です。きっと学校中でこのことが話題になって、あなたはどうなるんでしょうね。授業でも習ったの覚えてる?「因果応報」って。それを思い知れば良い。ざまあみろ!一生呪ってやる!あなたとミサをね。一生苦しんでろ。


 さよなら。私のあなた。



 一枚のCDのブックレットから出てきた手紙。このCDは父のコレクションの中の一枚だ。父は音楽が大好きで大量のCDやレコードを持っている。僕が音楽を好きになったのは、父のコレクションの影響だ。

 僕の母親は僕を産んだ時に亡くなった。そのショックで父は精神科にずっと入院している。僕は生まれてからずっと祖父母に育てられている。祖母からはことある毎に「こんなに良い息子を残して、ミサちゃんも心配でしょうねぇ」とか「あなたのお父さんとお母さんは高校の時からの仲だったのよ」と言っている。


 この女性は、父と母をずっと恨んで呪っていたのであろうか…。

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