相手

 小学6年生の時、夏休み、学校で1泊だけするキャンプがあった。昼から学校に集合し、プールで遊んだり、夕飯のカレーを作ったりした。そしてみんなが楽しみにしていたキャンプファイヤー。レクリエーションをやって、定番のフォークダンスになった。オクラホマミキサーが聞こえ、みんな踊り始めて、手をつなぐのが恥ずかしい男子は曖昧に手に触れ踊る。好きな男子とペアになった女子は、積極的に手を握る。

校庭の真ん中に井桁を組まれ、その炎は、みんなの顔をぼんやりと照らした。暗闇で目は慣れているが、踊っていると誰だ誰だか分からないときがある。

 私はあと二人で気になる男の子と組める。ウキウキしながら踊っている。組み合わせが変わった。この男子、誰だろ?手をつなぐと、ぎゅっと握られ、びっくりした。そして、物凄く冷たい手。顔の輪郭はぼんやりしている。早く次にならないかなと次を考えながら踊っていた。組み合わせが変わるタイミングが来て、さぁ、彼と手をつなげると思った瞬間、冷たい手で手首をぐっとつかまれ、後ろに引っ張られた。思いっきり後ろに倒れ、お尻を思いっきり打った。

 彼が駆け寄ってきて「おい、何してるんだよ」と声をかけてくれた。「今一緒に踊ってた人が思いっきり引っ張ったの。あれは誰?」ヒステリックな声で答えた私に彼は言った。「何言ってるの?人数足りなくて、誰かは必ず一人で踊るんだぜ。お前今一人で踊ってただろ」

 一体、一緒に踊った相手は誰だったのでしょうか。

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