旦那からのメッセージが届いた。


「今日は終電で帰る」


新しいプロジェクトの準備などでとても忙しいらしい。といって、私は何も悲しいことは無い。寧ろのんびりしている。自分のペースで色々と進められる。

夕飯をさっさと済ませ、風呂に入り、スマホで動画を見ながら寝落ちをするのがとても好き。今日もそれが出来る。明日は休みだし、寝坊してもかまわない。

 スマホで動画を見ていると眠さが早くやってきた。この勢いで寝てしまおう。スマホを頭元に置き、電気を保安灯にして目を瞑った。

 どれくらい時間が経っただろうか、目を覚ますと保安灯は消えていた。そして隣に旦那が寝ていた。深く寝ていたのか、帰ってきたのもベッドの入って来たのも気がつかなかった。珍しく鼾をかいていた。なんか苦しげだけど、きっと疲れているんだろう。部屋は暗かったので、顔は分からなかったが、こっちを向いているようだった。

お疲れ様って思って、頭をなでてあげた。なんか脂っぽい。もう、風呂も入らず寝たな。まあ疲れてるんだろうから仕方がないか。相変わらず苦しげな鼾を聞きながら私も眠ってしまった。またどれくらい経ったかのか、冷たい手が頬に触れて目が覚めた。旦那が寝ぼけて触っているのか?その手を払いのけて再度眠りについた。

 自然に目を覚ましたときには、カーテン越しにも部屋が明るかった。旦那はいなかった。あれ?休みなのに仕事に行ったのか?大変だな。そんなことををぼんやり思い、頭元に置いたスマホを見た。メッセージが一件。旦那からだ。


 「終電の時間過ぎた。帰れないので会社に泊まっていく」


旦那の布団は、人の入った形跡はまるで無かった。昨晩隣にいたのは一体…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る