第7話 彼女の親友が話す彼女の過去①

「はあ~い。カナタ君、こっちこっち」

 今日もテンションが高い若葉。


 待ち合わせの30分前に着いたが、先に来ていた。

「早いね。そんなに今日のデート楽しみだったの?」

「うん、昨日は眠れなくて……さ」

 無理やりテンションを上げ、若葉の小芝居に付き合う。

 

『若葉から聞いてるよ。二人が仲良くなるの、私も嬉しいから喜んで送り出すよ』

 

 若葉とのデートはすんなり承認されていた。

 ちょっとくらい躊躇って欲しかったが。

 

「じゃあ今日はどこに連れて行ってくれるのカナ?」

 僕とさほど身長の変わらない若葉が、首をかしげて可愛い子ぶる。

 確かに整った顔をしてはいるが、このかわい子ぶりは完全に似合っていない。

「オ、オッチャンが天国につれていったるさかい」

「いやーん、どこに行く気?」

 このノリしんど……


『夏希さん、付き合った事が無くてもキスした事があるって、女子だと普通?』

『うわキモ!やめてよね。あんたとこういう話したくないんだけど』

『お願いだ~、この哀れな男に知恵を授けてくれえ~』

 プラスでゾンビのスタンプ。


『あんたからそういう話されると、色々察しちゃうんだけど……』

『まあいいや、ぶっちゃけ珍しい話じゃないよ。こっちは友達だと思ってたのに急にされたり……とか特に意識してなかったのに急接近しちゃって……とかね』

『実体験?』

『死ね』

『ごめんなさい』

 

 こんなやり取りを経て、少しメンタルは回復していた。

 詳しい事情は分からないけど、彼女が身も心も捧げてないならヨシ! という理論。


「街の方来たの久々~」

 ぐっと腕を伸ばしながら歩く。

「大会近いもんね。どう、全国行けそう?」

「どうかな~。ウチもかなり纏まったいいチームだけど千田南とか、蘭高とか今年強い。カナタ君の方はどうなの?」

「胸を張って挑み、全力を尽くし、堂々たる戦いをするよ」

「結果は期待するなって事ね」

「強い高校は何面もコートがあって、ナイター設備があって、すごいOBを招いたりして全然違うよ」

「でも勝ちたいなら自主練したり、学校外のクラブに行ったりできるでしょ。気持ちの問題じゃない? あれ、これカナタ君に言われた事じゃなかったっけ?」

 チクリと意趣返しの様な事を。


「まあ、私はカナタ君を信じてるからね。いつかすごい事をやってくれそう」

 そう言い僕の右腕に絡ませてくる。

 おいおい……いくらなんでも腕組みはまずいだろ!

「じゃあそろそろ……イイとこ行こうか」

  

 着いたのはカラオケ屋。

 当然カラオケをしにきた――訳ではない。


 部屋に入るなりモニターの電源落とし、照明を暗くする。

「照明を落とす必要あるか?」

「この方が雰囲気出るでしょ?」

「店の人に、なんか変な事してるって思われない?」

「だって、変な事はしてるでしょ?」

 確かに。彼女の親友から彼女の秘密を聞き出すのは、まっとうな行為ではない。

 

「まず最初に言っておくけど、今からする話は当然光には言わないで。これは絶対。光が私だけに話してくれた事だから。破ったら本気で貴方達を別れさせる。あの子に言ったら、私にはすぐ分かるから。知ってるよね?」

 若葉の迫力に気圧されまいと、膝の上に置いている拳を強く握る。

 

「うん」

「この話を聞いて、カナタ君が光を嫌いにならないって信じてるから話すんだよ? 光に対して、露骨に態度を変える様な事があっても、私許さないから」

「うん」

 ジェットコースターが、最初の頂きに向かう様な緊張感。

「あと、質問は最後に聞くから。一気に話したいから、途中で何も言わないで聞いて」

「うん」


「じゃあ話すね。光が母子家庭なのは知ってるよね? あのお母さん、家にあまり居ない割に結構厳しいんだ。光が中2の頃、バレーが楽しくてのめりこんで、成績が落ちちゃった事があって、お母さんが怒ってさ……」


『バレー部を辞めるか、塾に行きなさい』

 

「当然塾を選んだんだけど、実際通うとなると遅くに塾から一人で帰るのは危ない。って事になって、家庭教師を付けることにしたんだ」

 その話は吉岡君から聞いた。

 

「お母さんの知り合いの子で現役K大の人がいてさ、その人に決まった。私も見た事あるけど長身で痩せ気味の、眼鏡かけた人。飯田っていう優しそうな男の人だった」

「でも流石に男性と家で二人きりはまずいから、最初の内はお母さんが仕事を早上がりしてたみたい。割と早く成績は上がっていって、やっぱり飯田に任せて良かったって事になった」

「光もお母さんも段々飯田と仲良くなってさ、私にも楽しく勉強してるって話してた。休みに3人で遊びに行った事もあったみたい。それから、段々二人だけで勉強する事が増えてきた。お母さんも飯田を信用してたし、仕事を早上がりし続けるのも難しくなってたみたいだし」

 嫌な予感が止まらない。


「飯田は楽しく勉強させるために、よくゲームを織り交ぜてたんだって。クイズ形式にしたり、ちょっとした罰ゲームをしてみたり、言葉遊びしたり……でもそれが飯田の手だったんだ」





「うーん、やっぱり光ちゃんはまだケアレスミス多いね。もうちょっと集中力を鍛えた方が良いかもね」

「そうですか……バレーの練習の時は集中できるんですけど」

「また、アレやってみようか」

「アレですか~、私、笑いやすいからなあ……」

「はい。じゃあ制限時間15分。問題集のここからここまで、集中してやってみよー。笑ったり、問題を解く以外の動作をしたら、罰ゲームだよ」

「うー、頑張ります」

  

 アレとは飯田考案の「集中力ゲーム」の事。

 時間と範囲を決め、何にも動じずに問題を解ききるれるか?というゲーム。

 光が集中して問題を解いている間、飯田が変な踊りをしたり、変顔をして邪魔をする。

  

 問題を解き出して数分後、飯田が光の後ろに廻る。

 後ろにボーっと立つ、というのもよくある手。

 気にしない様に問題を解いていく光……だが。


 サ……ッと髪を撫でられる。

 え?と思う光だが、集中力ゲーム中。気にしない様にする。

 サ……ッ、ササ……ッと今度は複数回。そして肩に手が置かれる。


(ちょっとやりすぎ……)


 と思うが、あまり騒いで気まずくなるも嫌だ。

 肩から背中へ、嫌な動きで降りてくる手。

 軽く爪を立てるような形の手が、ブラジャーのバックベルトをカリカリ掻いてくる。

 声を出すタイミングを逃した。でも声を出したところで? 頼みの母親は居ない。


 ブラジャーのホックを引っぱって離す、という動きを何回かした後。その手はわき腹に流れ、そして光の胸を揉みしだいた。


「嫌ッ‼‼」


 さすがに振りほどいた光だが、無表情の飯田。


「あー、ダメだよ光ちゃん。また失敗だね」

「何言ってるんですか!」

「はい、じゃあ罰ゲーム~。今回は30分ベットに横になり動かない~です」

「……本当何言ってるんですか? お母さんに言いますよ?」

「言えよ。お前も、お前の母親もメッタ刺しにしてやるから」

 ポケットから折り畳みナイフ。飯田の表情はその言葉が嘘ではない事を裏付けている。

「……ッ!」

「それともお母さん待って、親子丼にするか? お母さん美人だよね~。余裕で抱けるし」

(嘘でしょ……本当にこれが飯田先生?)


「罰ゲーム開始するよ~。遅れたらナイフだよ~」

 ナイフを上下に振る。もはや従うしかない。


 ゆるりと立ち上がり、ベットに横たわる光。

 オキニ柄のタオルケットが目に入り、何故か悲しい。

 涙が溢れ、すすり泣く声が響く。


「じゃあ、今から30分だよ~。よーいスタート」

 

 抜け目なく、すぐ手が届くところにナイフを置き、光の体をまさぐっていく。


「ウ……ッ」

 不快感に声が出る。


「動かなければ、声は我慢しなくていいよ」

 中学生にしては大きい胸を揉みながら、頬をベロっと舐める。

 (嫌ッ……お母さん……‼)


「あー、これ最高に犯罪的。って犯罪やっちゅうね~ん」

 頬から首に舌を這わせ、体を下半身に流す。


「うーん、なんていい香りなんだ」

 制服のスカートをめくり、顔を近づけてたっぷりと臭いを嗅ぐ。

 そのまま鼻を秘所に押し当て、ぐりぐりと押し付ける。

「うっわ~、最高~」

 グスン、グスンという鳴き声が、線の様な鳴き声に変わっていく。

 

(嫌、嫌、嫌ーーーーーー、もう嫌だよ……)

 

 あっという間にパンツを脱がされた。片手で秘所を撫でられながら、シャツのボタンを外されていく。

「おおー。中学生らしく、シンプルなブラだね。これは得点高いよ」

 撫でるだけだった指の動きを一旦止め、ぺろぺろと自分で舐めた指を膣内に挿入される。

 ネチッ、ネチッと音を立てて出し入れされる指。

「痛っ……!」

「ごめん、痛かったかな? 安心して。先生結構経験ある方だからさ~」


 ブラもまくり上げられ、チロチロとしたが這う。

「んっ、んっ、んっ、嫌…!」

「ちょっと湿ってきたね…気持ちいい?」

「そんな……ンッ、事、ない……ッ」

「初めてだからね……たっぷり濡らしてあげるよ」

 執拗に膣内を攻められる。

 その責めは10分間は続いた。



 自分の意思とは無関係に、ひくひく痙攣しだす性器。

 遂に飯田が立ち上がり、ズボンを脱ぎ捨てた。

 この後起こるであろう事態に、恐怖に顔を歪ませる光。

 

「お願いします……もうやめて下さい。絶対誰にも言いません。それだけは……」

 おーっと、動いたね。罰ゲームなんだから、しっかり罰をうけないと。僕も鬼じゃないから、ここまでにしようかと思っていたけど……最後までいっちゃうね」

「ひッ」


 猛然と光に飛び掛かり、両腕で両ふとももを持ち上げる飯田。

 なす術なく、起こした上半身がベットに沈む。


 そして、


 ずに、にゆううう……


「あうーーーーーっッ⁉」

「入ったあ~~! たっぷり濡らしたから、結構すんなりっ」

 飯田のモノが、光の膣内に挿入される。


「最高! 最高! こっちも高得点だよ!」

「あっ、あっ、あっ、嫌、やめてっ、抜いてくだ……さい!」

 リズミカルに腰を打ち付ける。

 ギシッ、ギシッ、ギシッ

「あ、アン、あんっ、うっ、うっ、嫌、嫌!」

 ぶちゅっっと舌を挿入。

 これが光のファーストキス。

「かわいい、かわいいよ光ちゃん!」

 べろべろと口を舐め回しながら、腰の動きを早めていく。

 

「うっ、うっ、うっ、アッ、アッ、アッ」

 飯田の腰がさらに早まり、絶頂が近い事が分かる。

「出すよ、光ちゃん!光ちゃんっ!」

「あッ、アッ、やめッ、てっ、うっ、いっ」


「あああああああ‼‼‼」

 びくびくと痙攣しながら、光の膣内に大量の精子を吐き出していく。

「ンンーーッ‼」

 

「まー、一応バレるとやばいから。このアフターピルって薬飲んでおいてね。お母さんに言っても

別にいいよ?ザックザク刺しに来るから。それに、勉強嫌いの娘の言う事とk大生の僕、どっちを信じるかなあ」

 精子を拭きながら、飯田。

「ベットに付いちゃった血やシミは綺麗にしておいてね。お母さん、悲しませたくないでしょ」

 

 精子を拭いたティッシュを無造作に放り投げる。


 起き上がれない光は、聞いているのかいないのか、ただすすり泣くだけだった。

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