第105話 文化祭の終わり(2) 〜最優秀売り上げ〜

 僕たちは今、クラスにて売上発表を聞いていた。

 そして、僕らの待ち望む、1位の発表である。


「それでは皆さん待望の1位を発表していきます! ……………、ばん!! 1年3組です! おめでと〜!」


 1年3組、つまり僕らのクラスである。

 その瞬間、


「「「おー!!」」」


 僕らのクラスが最大限に盛り上がり、そして喜んだ。

 実行委員である光と森下さんの二人は満面の笑みで楽しそうに話していた。

 そこに、


「おー! まじか! 急がないと!」


 そうぽつりと言い残して、担任の奥田先生はどこかへ行ってしまった。

 その後も放送は続く。


「最優秀売上クラスと、優秀売上クラス、準優秀売上クラスは文化祭実行委員さんは体育館前まで景品を取りにきてくださいっ! よろしくです! みんな、文化祭お疲れ様でした!」


 相変わらず元気な声でそういうと、放送は終わった。

 先生が教室を飛び出してからの間は、というと、僕らはクラスの後片付けをしているのだった。


 それから、文化祭後のSHRが始まった。

 先生は、と言うと約15分後ぐらいに何かを持ってかつ汗だくで帰ってきた。とてもいそいだのだろう。

 ちなみにみんなでテキパキ片づけでいたため、すでに後片付けは終わっている。最優秀賞の景品はというと、500円分のギフト券がクラス全員分であった。


「みんな、おめでとう! 俺からのプレゼントだ! みんなで食べようぜ!」


 と、アイスクリームを持ってきてくれた。

 バニラ味、チョコレート味、グレープ味など色々あった。


「「「おーー!!!!」」」


 みんな大喜びでアイスクリームにありつく。

 本当に、こういう時にお祝いをしてくれる、いいノリの先生は楽しくていいから好きである。


 おいしくアイスクリームを食べた後、SHRがあったが手短に終わり、現在は打ち上げの話になっていた。


「クラスみんなで打ち上げいかないか!?」


 そう言い出したのは光である。


「「いいねぇー!」」


 男子集団はこんな感じでノリノリ。


「「いいねっ!」」


 女子集団も同様にノリノリだった。


 だが、僕らは違う。

 文化祭が終われば、家に帰ってきて話す、という事になっている。


「なあ、楓。僕たちって打ち上げ行かないで帰らないとだよね?」


 (出来ればクラスみんなで打ち上げに行きたい)と内心思いながら聞きてみた。


「まあそうだろうね…」


 ニコニコの笑顔はみるみる失われていき、落ち込んだような顔になる。やはり楓も最優秀売り上げを勝ち取ったクラスメイトと打ち上げに行きたいのだろう。

 そこで僕がこんなことをふと考える。


「母さん達に『打ち上げあるから行ってきていい?』って聞くか!」


 楓はこういうところでは基本遠慮するのだが、今回ばかりは違うようで頷くのだった。

 それから僕は光に一声かけて、電話をしに一旦学校を出るのだった。

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