第94話 打ち上げ!?

 現在、僕の家に柳さん、堀川、楓、森下さん、光が来ていた。

 母さんは「まあ! 悠にこんなたくさんのお友達が!? なんのおもてなしはできませんがどうぞ!」 喜んでみんなを迎えてくれた。

 光と森下さんの手にはたくさんのお菓子がかかっていた。

 何をするのか分からなかった僕はとりあえず声を上げる。


「えっと、なんで集まったんだ?」


「俺も聞かされてねぇーぞ」


 堀川が答える。

 楓はもちろん、柳さんも(なんで?)と言う顔をしているので、光と森下さんしか知らないのだろう。

 そして、その答えが明かされる。


「「手伝ってくれてありがとう!!」」


 と、2人声を揃えて言う。


「「「「え??」」」」


 想定外の答えに、僕らは疑問の声をあげてしまう。


「いや、今日は迷惑かけただろ?」


 森下さんが光に続く。


「そうそう。私たちが実行委員なのに、楓ちゃんたちに少し任せちゃたでしょ? だから、そのお礼がしたくてね!」


 森下さんと光は笑顔で言う。

 (いや、場所提供してるの僕なんですけど!? うちに迷惑かかるし、そう言うのやるなら普通は自分の家を使うでしょ!? それに、なんでこのタイミング!? 明日文化祭だよ!?)そんなことを僕は思った。

 そんなことを考えている間に、


「明日文化祭だよな? また、こんな感じの打ち上げ? てきなことやるんじゃねーのか?」


 と、堀川が言った。

 (やっぱり同じこと思うよな)心の中で共感する。


「いや、明日終わったあとだと、こんな感じのメンバーを集めるのは難しそうじゃないか。だから『今日にしよう!』って言う話になったのさ」


「なるほどな」


 堀川は納得したようである。


「ってことで、お菓子は俺たちの奢りだ! いっぱい食べよーぜ!」


「「「「「おー!!!」」」」」


 そう言って僕以外の面々はお菓子を摘み始める。(え? この状況納得していないの僕だけ? 僕の中の問題かいけつしてないんだけど!?) と、内心思っていると、


「悠君、食べないの?」


 周りはべちゃくちゃ楽しそうに喋る中、楓が心配そうに聞いてくる。大好きな彼女を心配させるわけにはいかないので、


「あ、ごめん、楓。考え事してた」


 それを聞くと、楓は、


「何か悩み事?」


 さらに心配そうにして聞いてくる。


「ううん。そんなんじゃないよ」


 ちゃんと違うのでしっかりと否定する。それを見て信じたのか、


「そかそか。悩みとかあったらちゃんと私に相談してね! ねっ?」


 と、いい、「ねっ?」の所は最高に可愛い笑顔を見せた。


「可愛い…」


 僕は自然にそう呟いていたようだ。


「えぇ!?」


 楓は頬を赤く染め、手で顔を押さえてしまった。


「そう言うのはよそでしてくれー!」


 と、光に言われてしまった。(光だっていつもいちゃついてるだろ!)と、言い返したかったが、流石にその通りだったので、何も言わないことにした。

 堀川と柳さんの距離が近づいていたことなど、誰も気づいていないのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る