第67話 楓との遊園地!(4) 〜入場〜
僕たちは駅を出て、今、楓と遊園地に向かっている状況である。すっかり、顔の赤みはきえて、テンションが高い状態で維持されている楓が、
「ねーねー! 悠君はどのアトラクション行きたいの?」
これから行く遊園地でのやることについてを聞いて来る。
「そーだね。僕はこれに乗りたいかな」
そう言ってスマホの端末に指をさす。僕がのりたいと言ったのは船で遊園地内をぐるっと一周できる、そんなアトラクション(?)だ。さらにここのこのアトラクションは珍しく、周りよりかなり高い位置にあるため、高所から見渡すことができた。それも売りの1つであった。それを踏まえて言うと、
「あー、最初にある程度、地形を把握しておくのは良いかもね! それに船で高所から眺めれるのすごく珍しいし! いこいこ!!」
楓も乗ってみたいらしく、最初に乗るものが決まったのであった。
「楓は何に乗りたいの?」
僕も楓に聞いてみる。楓はノリノリでスマホの端末に指をさした。それは、そこそこ巨大なジェットコースターだった。
「え!?」
僕は思わずそう言ってしまう。単純に高所恐怖症だからだ。それに恥ずかしながら単純に速度が速いのに慣れていない。と言う理由からだった。
「え? 嫌なの…??」
楓のノリノリはどこかへ消え去り、不安な表情、目がうるうるしていた。(まずい…。デート中に相手を悲しませてしまうだなんて、男失格だな……。でも、まだ間に合う。僕だって男だ。楓のために乗ろう。大丈夫、走行中は目を瞑っておけば怖くない……。多分…)そう思い、
「ううん! 嫌じゃないよ! 楓絶叫系得意なんだね!」
別の話題を振って、(嫌がってないかな?)と、考える楓を誤魔化す。
「そっか! 良かった!」
と、言ってから、胸を張り、
「絶叫系大好きだよ! 小さな頃からあっちこっちのジェットコースターに乗ってきたんだ!」
作戦は成功したようで、無事話を逸らすことができたが、ジェットコースターを小さな頃から乗れるなんて凄いと思った。
「す、凄いね…」
すると、えっへん! と言わんばかり、また胸を張っていた。その楓を見て、(可愛い)と思うのだった。
そして、遊園地の入り口に到着した。オープン時間を過ぎているのにかなりの列ができていた。(おおすぎ!)そんなことを思いながら、僕らは入場チケットを買うために列に並んでいた。
「うわー、人多いね」
僕がそう言う。が、楓からの返事がない。
「楓?」
そう言って楓の方を見ると、目の前にいるカップルを見ていた。
「もー、相変わらずなんだからぁー」
彼女がそう言う。彼氏が彼女をこしょばしていたようだ。
「良いだろ?」
そう彼氏は言う。
「いいけどぉー」
彼女は全く怒った様子もなく、楽しそうに言う。そうして、手を繋いだ。普通に繋いだのかと思いきや、やはり恋人なのか、恋人繋ぎだった。
僕は、(こんな人前でいちゃつくなよ…。それを見た彼女のいない男子達は深く傷付くだろうな……)そんなことを思っていた。
無事入場できた僕たちは船の乗り場に向かって歩いていた。ちらっとバレないように横を見ると、楓はモゾモゾしていた。手を出しては引っ込めて、をくりかえしてた。(手を繋ぎたいのは確実だよな……。えーい、こう言うとこは男から行かないとだろ! 繋いでやれ!)そう思い楓の手を取る。すると、楓は
「え!?」
と、呟き、こちらを見た。みると顔は既に真っ赤っかだったので、やはり、手を繋ぎたかったのだろう。でも、「楓が繋ぎたそうにしていたから」と正直に言うと、楓がさらに照れてしまいそうだったので、
「僕が繋ぎたかったんだ。ダメかな?」
そう言うと、
「い……」
楓はなにか返そうとするが、どうやら照れ過ぎて言葉にならないようだ。諦めた楓は大きく首を横に振った。「ダメかな?」に対して横に振ると言うことはどうやらいいようだ。
「ありがとう。楓」
そう言うと楓は頬が真っ赤っかのまま、満面の笑みを浮かべるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます