第66話 楓との遊園地!(3) 〜遊園地到着〜

 僕らは駅構内に入り、今は電車の中である。まだ朝早めなため、人は少なく、余裕で座ることができている。前起こった痴漢の心配はないであろう。


「んー、悠君………」


 そうポツリと言い、僕にもたれかかってきた。


「ん!? 楓!?」


 僕は(どうした? どうした!?)と、思いながら、もたれかかってきた、楓の方を見る。すると、目を閉じて、僕に全ての体重を預けている。どうやら寝ているようだった。僕は、


「寝ている楓も可愛いな」


 独り言でそう言い、(寝てるし、ちょっとぐらい良いよね!)そう思い、頭を撫でる。楓の髪はサラサラで凄く手入れされている、と言うことを深く感じることができた。

 

 そして、楓の髪を触ってから数分後。僕は睡眠との戦いをしていた。楓はまだ横で目を閉じて眠っている。


「ふぁー」


 僕にもあくびが出てきてしまう。

 その数秒後、僕の意識は無くなっていた。



 悠がすやすやと寝息を立て始めた頃、寝たふりをしていた私は体を起こした。


「もぉ、悠君ってばぁ…。急に髪を触るのは無しじゃん!」


 私は寝た、と言う口実を使い、悠君にくっついた。単純に私はくっつきたかっただけだったのだ。が、悠君が髪を触ってくるから、凄く恥ずかしかったし、こしょばかったりした。そして寝ていることをいいことに、私は、


「私を褒めてくれてありがとう。悠君。悠君のために頑張った甲斐があったよ。それに悠君、凄くかっこいいじゃん。なに? そのファッション。私のためだよね? 本当にありがとう。

大好きだよ。悠君」


 そう言い、キスをしようとしたのだが、その独り言を聞いていた電車の乗客の人が顔を赤らめている。(あ、やばい。ここ電車っていうの忘れてた)と言う、飛んだ恥をかく私だった。でも、寝ているとはいえ気持ちを伝えられたことは嬉しかった。その後、着くまで、ずっと下を向いて過ごすことになったのだった。


 

 僕らは駅につき、電車を降りた。この駅から、大体徒歩10分程度のところに目的地の遊園地がある。

 改札口へ向かっている途中に、ふと、横をみると、楓は顔が少し赤いが、先ほどよりも上機嫌だった。それが気になったの僕は、


「どうしたんだ? とても機嫌良さそうじゃないか?」


 すると、楓はこっちを向き、


「そうかな?」


 と、首を傾げている。電車の中で何があったのか知らない僕は


「気のせいかな?」


 何にも変わってない方向に矛先を向けてしまう。


「多分そうだよ!」


 楓は元気にそう言う。やはり何かあったんじゃないか、と思うが、「気のせい」とまた言われてしまいそうだったので、僕は追求しなかった。その代わりに顔が少し赤いことについて、聞くことにする。熱があるかもしれないし、心配になったからだ。


「楓、少し顔が赤いけど大丈夫か?」


 すると、楓は大声で、


「大丈夫!! 大丈夫だよ! 悠君!」


 そう答えた。(しんどいのならこんな大声出せるはずがないか)と、思い、僕は(なんでもないのだろう)と、言う結論に至ったのだった。

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