学校生活の変化
第45話 異変
楓が、
「距離を置こう」
と言う話を切り出してきた次の日。
僕はいつも通りのバスに乗るためにバス停にやってきていた。いつも通りなら楓がこのバスに乗るたまにバス停に来るが、
「楓さん遅いな」
僕はポツリと呟いた。
もうバスが来る1分前なのに楓が来ない。やはり昨日のことが関係しているのだろうか。そんな事を考えているとバスがやってきた。
「結局楓は来なかったな…」
悲しみの言葉を残して僕はバスに乗った。
いつも横には楓がいてくれて、楽しいバス時間だったのに、今は側から見ると、ボッチと言うやつになっている。
他のバスに乗っている人、生徒はみんなべちゃくちゃ喋っている。その光景が自分がぼっちと言う事を引き立てていた。
「はぁ…」
僕はもうため息をつくことしかできなかった。
そして、楓の存在のありがたさも知ることになったのだった。
そして学校に到着した。
基本、楓と来ているため、その事を違和感に思った生徒達の話し声が聞こえる。
「あの二人別れたの? 彼氏一人じゃん」
とか
「別れたのか? じゃあ次俺が狙お」
みたいな声が聞こえてくる。
(もともと付き合っていないのだが、本当に付き合ってたとしても別れたばかりの人を狙っても殆ど恋は実らないと思うよ)
みたいな事を思いながら教室へ向かう。すると今日はバカップルどもが既に登校してきていた。話に行こうとするがいつも通り、
「おはよう、北村君」
柳さんが挨拶をしてきた。
「……おはよう。柳さん」
僕はつい元気のない挨拶になってしまった。
「どうした? 元気ないじゃん」
柳さんは心配そうにこちらを見ている。
「いや、ちょっとね」
すると柳さんは何かに勘付いたような、表情を浮かべ、
「天野さんと何かあったの?」
単刀直入に聞いてくる。
まあ柳さんに嘘はすぐ見抜かれてしまうことはわかっているし、いろいろと秘密を知っているので、
「うん」
僕は正直に答える。
「もしかして私が北村君、今なら狙いやすくなった??」
柳さんは悪戯にそんな事を言ってくるが僕としては冗談ごとじゃないので
「そんなわけない」
声を強張らせてかつ強めに否定した。
柳さんは目を見開き、申し訳なさそうにしながら、
「ごめん、そこまで重大問題とは思わなかった」
軽いノリで言ってきたことに反省してきた。そう言うのはちゃんと聞いてからやって欲しいものだ。
すると楓が教室に入ってきた。時間的に考えて、どうやら1本後のバスで登校してきたらしい。
「ごめん、柳さん、僕、楓さんのとこに行ってくるね」
僕は急いで楓の方に向かおうとかけ出した。
「また話聞かせてねー、頑張って!」
その言葉を耳で聞きながら、向かっていくのだった。
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