第30話 澪の告白
僕が楓を発見して連絡を入れた後、起こった話である。
〜澪視点〜
私は決めていた。出来れば悠と天野さんがいないところで光君に告白することを。
北村君から連絡が入り、楓ちゃんが無事と言うことがわかった。私と光君はたまたま家の近くを探していたからか、北村君や楓ちゃんより早く家に戻っていた。私はその時が絶好の告白するタイミングだと思った。
「ひ、光君っ」
(私は本当に告白しても良いのだろうか? まだ付き合いは1ヶ月程度ないけど。果たして光くんは私のこと好きなのだろうか。もし失敗したら誕生日と言う日が嫌な日だと言うことが心に刻まれ……、いやいや、そんなことはどうでも良い! 私! マイナス思考を捨てろ! 言うんだ。光君が好きだって。付き合ってくださいって! そして楽しいイチャラブ生活を送るんだ!
「光君っ!!」
光くんは早く言葉を聞こうとせずにじっと私の言葉を待っているのかな?私は勇気を振り絞りその想いを言葉にする!
「も、もしよければ、私と!!」
私が言おうとしたその時、
「待ってくれ!」
光は止めてきた。
「え?」
雰囲気とかから何を言いたいか。それはわかったはず。(と言うことはもしかして私…振られた? 私が言う前に? 私を傷つけないようにするためにわたしに告白させてくれなかったの? ねぇ、教えてよ。光君!)そんな負の思考がよぎっている時、
「俺から言わせてくれ」
その瞬間私の負の考えは吹っ飛んだ。その言葉には今まで光君の口から聞いたことないぐらいはっきりと、意を決したような言葉だった。
「え?」
私は思わずそう呟く。
「ごめんな。澪さんの言葉を遮るような真似をして。でもこう言うのは男から言うものだろ?」
その一言で確信した。ちゃんと光君は察してくれてた。しかも光君の方から言ってくれるつまり結果は見えているも同然のことだ。が、まだ分からない。私の身体がとても熱くなるのを感じた。
「澪。俺は澪のことが好きだ。こんな俺でよければ付き合って下さい」
改めて身体が熱くなる。光君も私のことが好きだった。つまり両想いだ。それが確信した瞬間私は飛び上がりたいほどの嬉しさを抱く。
「はい。こんな私でよければよろしくお願いします!」
私は嬉しさで元気に返事した。
そうしてお互いを抱きしめあった。あの車に撥ねられそうになった時よりも強く。
お互いの肌を堪能した後私たちは家に入った。
「じ、じつはー」
彼はそんな事を言って誕生日プレゼントと思わしき袋からあるものを取り出した。
「俺も今日告白するつもりだったんだ」
みたら一目で分かった。花束だった。彼はこれを渡し、告白しようとしていたのだ。
「ありがとう光君。私達本当に気が合うね!」
(同じ日にお互いが告白しようとしていた。それは気が合うを超えて意思疎通と言っても過言じゃないのではないか。)とも私は思うのであった。光君はとても笑顔で微笑んでいた。
「光君」
「澪」
良い空気になろうとした時に
「ピンポーン」
「あ、帰ってきたね」
「せっかく良い感じになってきたのに残念」
「あいつらが可哀想だろ。そんな事を言ってあげるな」
「それもそうね」
そう言って私は玄関に向かって行った。
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〜通常視点〜
「と、言うわけで私達付き合います!」
正直僕は驚きでいっぱいだった。楓もびっくりしすぎて目がチカチカしているように見える。
「光、それに森下さん。おめでとう。お幸せに!」
僕はまるで結婚でもしたのか、と言う言葉を告げてしまうが光と森下さんは
「「ありがとう」」
と返す。どうやら大丈夫だったのだろう。
「ふたりともおめでとう! 幸せになるんだよー??」
悪戯な笑顔を浮かべながら言う。
「「うん! もちろんさ(だよ)!」」
ふたりともニコニコ顔で言う。本当に幸せそうだ。僕はこの2人の邪魔はしたくないなと思った。楓も思ったのか
「じゃあ悠君。私たちは帰ろっか」
と口にする。
「そうだね」
「すまんな。バイバイ、悠、天野さん」
光はそういい、森下さんも手を振っていた。
僕らも手を振りかえし、僕と楓は2人で帰路についた。
(てか、誕生日会、一瞬だったな…)本当にご飯を食べただけで終わった誕生会となったのだった。
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