第29話 今度こそ誕生会!

 僕と楓は森下さんの家へやってきていた。光と森下さんの様子がおかしいような気がしたが気のせいだろう。そして誕生日パーティーの前に楓が


「みんな、私が迷子になったばかりに迷惑と心配をかけてごめんなさい。理由しては私がスマホの充電をちゃんとしてなかったのが悪いです。次からは気をつけます」


 と言った後、楓はみんなの前で頭を下げた。よっぽど反省しているのだろうと言うことがよく伝わる謝罪であった。


「そんなこと気にしないでいいよ! 楓ちゃんが無事ならよかったよ! それより、早く方向音痴なおさなきゃだね!」


 森下さんは笑顔で言っている。


「次から気をつけろよ?? まあ、全然いいんだけど」

 

 光は釘を刺すように言う。

 が、しょーがないなーと言う感じだった。


「だそうだ。さん。気にしなくて良いからね」


 (ん!?)と光と森下さんは首を傾げていた。

 もちろん名前で呼んでいることに対してだ。

 そんなことは気にせずに、


「うん。そうみたいだね。澪ちゃん、大倉君、君、ほんとにありがとう」


 と、楓は普通に返事をする。

 (!?!?)もう光と森下さんは絶賛大混乱中のようだ。


「ま、まあ、みんな揃ったことだしはじめようか!」


 どうやら名前の件がすごく気になるようだが、一旦それを置いて、森下さんはパーティーの開催の宣言を表明した。 


「「「うん!!」」」


 と言うことでパーティーは始まった。


「うわぁ! めっちゃ美味しそう!」


 目の前に置かれた大量のチキンに目を輝かせている。それは僕らも同様だった。とてもじゃないが食べきれない量のチキン。お腹いっぱい食べれると思ったら最高だった。


「私がチキン好きだからたくさん買ってたけどこれでよかったかな?」


「「「うん!!!」」」


 みんなも好きなようだった。

 もちろん、僕も大好物だ。


「よかった! じゃあ、みんなで食事の挨拶を!」


「「「「いただきますー!」」」」


 そう言って僕らはチキンにかぶりつきご飯を食べ終える頃にはお腹いっぱいになっていた。もちろんケーキもまだなのだが調子に乗ってみんな食べすぎたため遠慮しておくことになった。(家族と一緒に食べたら良いだろう)と言う考えが僕の中にあったりもした。


 そして先陣を切って僕が誕生日プレゼントを渡す。


「も、森下さん! 誕生日おめでとう!」


 そう言って僕はプレゼントを手渡した。そう、店員さんおすすめ高級なチョコの詰め合わせだ。好きではない相手と言え、女子に誕生日プレゼントを渡すのは緊張するものだ。(もしよろこばれなかったら?)そんな事を考えてしまうからだ。さらに今回はチョコレートだ。「バレンタインデーかっ!」と言うツッコミどころもあるだろう。結果そんな不安を打ち消すかの如く森下さんは嬉しそうに言った。


「うわぁ! 私の好物のチョコレートじゃん! ありがとう! 北村君!」


 そう言いにこっと笑った。やっぱり天野さんの方が可愛いと思ってしまう僕がいた。


「じゃあ私から! 開けてみて!」


 そう言って楓はケースのようなものを渡した。


「ありがとう! 開けてみても良い?」


「うん!」


 そう言ってケースを開けるとクローバー型のアクセサリーを取り出した。


「かわいいー!」


 そう言ってると楓はポケットから同じアクセサリーを取り出し、


「おそろっち!」


 そう宣言した。


「わぁ! 楓ちゃん大好き!!」


 そうして森下さんは嬉しそうに楓に抱きつく。

 だが、なぜか光は不機嫌そうだった。


「みんなありがとね!」


 森下さんがそう言った。(あれ?光は?)僕はそんな事を思い言ってみることにした。


「光はプレゼントないのか?」


 そう言うと光はなぜか照れ臭そうにしていた。よく見ると森下さんも照れ臭そうにしている。


「……君は最高のプレゼントをくれたから……」


 何があったのか、次回それが語られる!

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