第31話 楓との帰路

 誕生日パーティーの後、楓と僕は家に向けて歩いていた。


「すごいことになっちゃったね。悠君」


「ほんとに。僕らが公園で話している間にあんなことになっているなんてね」


 公園で話している間に告白が行われていた。そう思うとかなり驚く話だろう。


「これからどうなるんだろ?」


 これから。つまりいつもの僕、光、楓、森下さんの4人組にカップル誕生したので学校でも光と森下さんが2人で過ごすことが多くなるだろう。と言うことは?(僕は自動的に余ったと言ったら失礼だが残っている楓と2人っきりで過ごせる時間長くなるんじゃね!?)そう思った僕は


「え! よっしゃ!! きたこれ!!!」


 心の中の声だけどはずが漏れ出てしまった。相変わらずのあたおかに、(そろそろ直さないと)と、本気で思うのだった。


「急に大声出さないでよ! で、これからがよっしゃ!? 大倉君と澪ちゃんが付き合ってくれて嬉しいんだー!」


 謎の間違えの解釈をしてくれたお陰で僕が楓と2人っきりで過ごせる時間が長くなると言う事実を話さずに済みそうだ。


「そうそう! 2人の両想いが実ったのが嬉しくてね!」


 ちゃんと合わせて誤魔化していく。


りうんうん! 私もわかるよ! いやー、まじかで見る、まるでラブコメ小説のような展開で付き合ったのっていいよねー!」


 どうやら楓はラブコメが好きなようだ。

 僕は今の話を聞いて(するならラブコメの展開にしてから告白しよう)そう深く思うのだった。


「そうよな! めっちゃいいー」


 僕はそんなに本とか読まないが、とりあえず共感しておく。


「でもまだ出会って1ヶ月だよ? 付き合うのはまだ早くない? とも思うんだけど」


 (僕は告白する時期を少しずらそう)と思った。


「それもそうだね。即破局にならない事を願うよ」


 もし即破局になれば、下手をするとこの4人の割と安定してきたいつメンは崩れるだろう。それだけはどうしても避けたいところだ。


「私も願っとこ」


 そう言って彼女は心の中でこう願う。(悠君と早く付き合えますように……。わたしったら今はそんなこと願うとかじゃない……)

 そんなことを考えていると、顔がすこし火照ってきた。私は火照りを隠すため、話題を変える。


「そう言えば明日から仮入部だね!」


 そう、明日からは仮入部が始まる。


「楓さんはどこの部活行く予定??」


 (できれば一緒に行きたい)そういう意を込めて聞いてみた。

 すると、


楓「うーん、そうだね。私は多分部活入らないけど仮入部は絶対に1回は行かないとだから吹奏楽部行こうかな!」


 吹奏楽部。簡単に言うと楽器を使い演奏をすると言う部活だ。まあ知っているだろうが。僕としても楽器に興味ないわけじゃないしここは一つ嘘をつく。


「奇遇だね! 楓さん! 僕も吹奏楽部に行こうと思ってたんだよ! 一緒に行かない??」


 上手い具合に誘えたのではないのだろうか。


「うん! いいよ! 一緒に行こ!」


 (っしゃ!)と、楓の見えない所でガッツポーズをかます。

 と言う事で明日、楓と一緒に仮入部に行くことになった。

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