化学の回
「んで?どうやるんだよ。」
ライトはカノンに尋ねる。
「んじゃまず、その魔法の原理を知るために生活魔法の習得から始めようか。」
--まさかの発言の連発でもう驚かない自信があるや。
カノンはライトに説明をし始めた。
「まず生活魔法の使い方だけど、魔法って言うのは大体イメージだ。
者を浮かす魔法とか色々あるけどそれも全部イメージ。
炎を出すものや、ライトの雷魔法とかは例外で生まれ持ってのセンスが必要な魔法だけど。
んで生活魔法でイメージするのは大体魔法の手をイメージするんだ。
んでんで簡単に言ったら魔法の手で空気中にある水をギュってするかんじ!」
ライトは実際に想像してやってみるも結果話変わらず何も変化が起きなかった。
「よし、もっと根本の原理から説明しようか。理解した方が想像しやすいよな!」
なんだかライトは申し訳なくなった。
「あ、よろしくお願いします先生。」
カノンはうれしそうに教え始める。
「んじゃまず、水と氷と水蒸気(ゆげ)の違いってなんだと思う?大きく分けると二つあるんだ。」
「んーと、温度?あとー。わかんないです。」
「温度は正解!あともう一つは水分子の密度なんだよ。んでんで、気体っていうのは基本的に圧力と体積が原子の物質の量と温度と~~~~~。」
饒舌になるカノンについていけないライト。
「ってことは自分の周りの圧力を下げたらいいってこと?」
「そうだな。ただ大気圧は変えられないから・・・」
ライトはカノンを無視し、何となく理解して実践してみる。
--手の大きさじゃなんだか足りないな。大きな手をイメージしよう。
いや、大きな手だったら隙間ができるから大きな箱にしよう。
ライトは目を瞑って熟慮し続けていくうちに頭が暑くなってきた。
--大きな箱。少しずつ天井が高くなっていく......。
強く念じているうちに心なしか少しずつだが体感の温度が下がってきた気がした。
「で!できた!できたよカノン!」
「魔力消費も激しくないし常に意識していてもいいかもな。」
カノンはほほえんで返事をする。
「これで夏も涼しく過ごせるぞ!!」
そう言うとライトは気が抜けてしまってすぐに体が熱くなるのを感じた。
「生活魔法はこれの逆だ。空気に含まれる水蒸気(ゆげ)から水を作るには、温度を下げ続ければいい。」
ライトは温度を変えたときと同じ方法を実践してみる。
すると3滴分程度の水滴ができた。
「おお!初めてにしては上出来だぞ!」
ライトを褒めるカノン。
ここであることに気が付く。
「もしかしてだけど、ヘンリとか平然と生活魔法で水作ってたけどあいつ天才?」
「あ~。あの女か。確かに天才だな。ふつう出せてもコップ一杯程度だが、あいつ手を洗えるくらいに出してたもんな。」
ここにきてヘンリの偉大さを知るライト。
つくづく頭がよくならないと凄さって分からないものなのだと実感した。
ライトはどうにか簡単に出来る方法がないのか考えてみる。
そうして一つの方法が考え付いた。
「これって莫大な範囲でやるんじゃなくって箱の大きさを何重にもしたらもっと効率よくできるんじゃない?」
提案してみるライトはカノンの顔色を伺う。
感心するようにニヤけるカノン。
ーーー方法を教えて直ぐにもっと簡単に実用化できるように工夫できるのか……。ライトは覚えたことを応用できるタイプだな。
カノンの顔色をみてライトはこの方法でできることを確信して挑戦してみる。
ライトはリビングに走って食器棚からコップをひとつ取ってきた。
左手で水を維持し、右手でどんどん水を大きくしていく。
コップに溜まった水の周辺の体積と圧力を変化させて、常温より少しだけ冷たくなった水を作ることができるようになった。
ライトは喜んでコップを口に運ぶ。
「まぁ!飲めないことは無いね!」
自分で水を作り飲むライトを見てまた感心するカノン。
ーー実際に発想としては良いが、魔力量の使わないこの方法はその分魔力のコントロール力が必要なハズ……!
魔法を普段使わないこいつはなんでそんなに器用なんだ・・・?
「ん?どうかしたのか?カノン?」
「い、いや、なんでもない。」
ライトは「変なのー」と言って再び水を作り始める。
動揺からカノンは冷汗をかく。
ーー汗?
ライトの様子に目をやるとライトは汗ひとつかいていなかった。
ーーコイツ、最初に教えた気温の変化の魔法を実践しながらやったのか?ほんとにそうだとしたら、ライトは3つの魔法を同時に行っていたことになる……。
カノンはライトを調子に乗せ、慢心させたくなかったため黙っておくことにした。
それと同時に、このことを知らせてライトがいくつまで魔法を同時に発動できるのかを知りたくなった。
ーーいったいコイツは何個まで魔法を重ねることが出来るんだ……??
「まぁカノンのおかげでダンジョンでの水分問題はようやく終わりだな!まぁジャングル内にも水分はあったけど心置きなく飲めるよ!」
「あ、ああ。」
--まぁ私も昔はそれくらいできたけどな!
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