第3話(3)



「ん?」


降りむくと、もう一人の気弱そうな少女がおずおずと話しかけてきた。


「わ、私はセレスって言います・・・。その、足引っ張ったらごめんなさいっ・・・!」


セレスと名乗った少女は今にも泣きそうだった。


「ちょっ!泣かないで!足なんか引っ張ったっていいから!」


「ほ、ほんとうですか・・・?」


そう言ってこちらを見上げるセレスの耳をよく見ると、魚のエラのようなものが付いていた。


もしかして・・・。


「私はアリーゼ。よろしくねセレス。・・・セレスは魚人族なの?」


「は、はい、一応・・・。でも私は魚人の血が薄くて、水に触れないと魚人になれないんです・・・。」


セレスは俯きながら話した。


確かにセレスは耳がエラみたいってだけで、他は全部人と同じだ・・・。


「そうなんだ・・・。っていうか、同い年なんだから敬語はなしにしようよ!その方が話しやすいよ!」


「ええ!?でも・・・!」


「いいからいいから!ね?セレス!」


「・・・!う、うん。アリーゼ・・・ちゃん・・・!」


セレスは遠慮がちに私の名前を呼ぶと、嬉しそうに微笑んだ。


か、可愛い・・・!


やっぱり子供の笑顔は可愛いわね・・・っておいおい!!


三十路の思考でどうすんだ!!


三十路思考を振り払うように首を振ると、私はセレスの腕を引っ張った。


「じゃあ私達もスライム狩りにいこ!」


「で、でもさっきの子は・・・?」


あのうさ耳小僧か。


「あいつみたいなのと組んでたら狩れるもんも狩れないわよ!二人であいつよりもいっぱい狩ってやろ!」


「う、うん・・・!」


セレスが頷くのを確認して、私は森中へ、スライム退治に赴いた。





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