第2話(6)
——城——
「・・・お嬢様。」
「・・・はい。」
ジルは腕を組んで私を見下ろす。
「ご自分のなさったこと、わかっていますね?」
「・・・はい。ごめんなさい。」
「・・・はぁ。村の人達、相当怖がってましたよ。小型の魔物に食われる!って・・・。」
「・・・別に食べないのに・・・。」
「口に血を付けたまま大量の魔物を率いて行ったら怖がられるに決まってます!僕でもゾッとします!!」
「・・・ウサギ、美味しかったからつい・・・。」
「・・・はぁ。まぁ起こってしまったことを言っても仕方ないですね。今後は気を付けるようにしてください。村の人たちの新しい生活場所は魔王様になんとかしていただきましたから。」
「・・・ふぁい。」
「それはそうと、なんでこんなことしたんですか?」
「・・・と、友達が・・・。」
「友達?」
「友達が欲しくて・・・!でも森では虫とかカエルしか友達になれなくて・・・!」
気付くと目からは大量の涙が溢れ出ていた。
「せめて会話がちゃんとできる友達がほしくてぇ~!!!」
「わ、わかりましたから泣き止んでください!」
「ううう・・・。」
私の青春はこんなはずじゃなかったのに・・・。
「まったく・・・。友達なら、学校に通うようになれば嫌でもできますよ。」
「学校・・・?」
「はい。お嬢様は2年後の7歳から魔族の学校に通っていただきますから。」
「え・・・?それなんで言ってくれなかったの・・・?」
「言いましたよ!お嬢様が聞いてらっしゃらなかっただけです!」
そんな・・・学校なんて・・・学校なんて・・・!
「ジル~!!大好き~!!!」
「うわっ!」
私はジルに思いっきり抱き着いた。
学校!!学校だ!!
前世では一度も通えなかったあの!!
青春、恋愛、いじめ・・・数々の試練が待ち受けているという噂の!!!
「よぉーし!!私学校頑張るぞおお!!」
「・・・その前に、お勉強ですよ。入学試験もありますからね。」
ジルは私に乗られたまま、優しく私の頭を撫でた。
「勉強・・・か・・・。」
勉強は嫌・・・。
でもこれも青春のため・・・!
私の第2の人生のため・・・!
この人生、謳歌してみせる!!
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