第41話 読書家JK
絶対に普通の二十歳の子なら味わっていない辛苦を私はいやおうなしに味わった。
解離性障害と複雑性PTSDのせいで高校にもほとんど行けず、病院で何をしているかといえば、懲りなく書き続けることだった。
小説を書くのは中学生の頃もしていた。
中学二年生でようやく短編の小説を完結した。
小学生のころと打って変わって独りの少年が己の出生の秘密に煩悶しながら、潔癖さえ故に身を破滅させるという、自意識過剰丸出しの中学生らしい小説だった。
14歳のころから私の読書傾向はたぶん、高度になった。
今まで読んだ中では小林秀雄訳の詩人・ランボーの地獄の季節、ユング心理や老荘思想が盛り込まれたゲド戦記、そして前者とは思想が相対するかもしれない、三島由紀夫、中学生にしては背伸びした人文書、新書、評論集などを読み漁ったのもこのころだ。
今と変わらない読書傾向になったと思う。
あれだけ自分の小説力に失望したくせに懲りなく書き続けた効果あって、私は16歳のときにある歴史上の人物を主人公にした小説を完成させ、その小説は十回以上見直し、推敲した。
確か、そのあと高校生向けのコンクールを出品したが落選してしまった。
そのときのすさまじい落胆は今でも思い出すと悔しくて何時間でも愚痴ってしまう。
何で落とされたのよ。
※義経を主人公にした『十六夜流離譚』です。
学芸コンクールに一次で落選。
田舎の女子高校生が義経、歴史ものという背伸びしたジャンルを書いたのが、敗因か。
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