第38話 感謝


 その奇跡の勝因として、祖母が日ごろから人間ドックを定期的に受診し、脳内に脳動脈瘤が数か所ある、と主治医から忠告されていたことが大きかった、と母は付け加えた。


 祖母はその事実を認識してから万が一のときのために注意をしていたのだ、と回復後の祖母から聞いた。


 祖母は二週間、ICUで治療に専念し、リハビリも行い、目立った後遺症もなく、無事退院できた。


 



 本当に奇跡だった。


 多くの人が脳梗塞で命を喪う中で祖母は定期的な人間ドックのおかげで命が助かった。


 この恩はすべての医療従事者に感謝しても感謝しきれない。


 生き延びた祖母に感謝を伝えることができた。




 今まで私の人生は地獄だった。


 高校も転科を含めて五回も変わり、家にずっと引き込まっていると祖母に八つ当たりしていた。


 祖母が生きているうちに素晴らしい報告ができたのは紛れもない、人間ドックの賜物だ。


 現在、新型コロナウイルスが拡大し、医療崩壊も目前に迫っている。


 日々、人の命を救うために見えない敵と闘っている、医療従事者の皆さん、私たちの分までありがとう。


 祖母が助かったのは皆さんのたゆまぬ努力の証です。


 私にやれることはこのエッセイを書く以外はないけれども本当にありがとう、とこの場を持って伝えたい。


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