Episode 4 Walls that hinder my way

「え?テオ君、それ本当に言ってるの?」


ルナが聞いてくる。


「あぁ。そんなに驚くことか?」


「魔法の使い方が分からないとかではなくて?」


「あぁ。魔力そのものがない。でも、別にそんな奴いるだろ?」


「坊主、まじか」


ジルとルナがまた目を合わせる。


「あのね、テオ君。数十年前はそういう人もいたけど、今は魔力を持たない人なんて殆どいないのよ?」


「そうなのか。でも、それがどうかしたのか?」


「テオ君は冒険者になりたいんでしょ?つまり、メイズに潜ってイビルズと呼ばれるモンスターたちと戦わなくちゃいけないの。魔法なしで戦うんなんて、自殺するようなもんだよ」


「でも、冒険者も剣や体術で戦う奴もいるじゃないか」


「私も剣を使うけど、そういう冒険者は基本的に魔法でフィジカルバフをかけてるから」


「まじかよ」


やっと希望が見えたと思ったのに。


「そういうことだ、坊主。冒険者になることは諦めな」


「嫌です」


だが、その程度の事でここで引き返すわけにはいかない。


「テオ君考え直して。メイズは君が思っているより簡単な場所じゃないんだよ」


ルナが言う。


「俺の覚悟もルナが思っているより軟じゃない」


「でも、、、」


「ジルさん。俺を弟子にしてください。引き返すわけにはいかないんです」


「死ぬかもしれないぞ?」


「別にいいです」


しばらくジルさんは考え込んだ後。


「見るだけ見てやる。お前にその素質があれば、弟子にしてやらんこともない.

ついでに養子にもな」


「ちょっと、ジルさん。本気ですか?」


「あぁ、素質がないと思ったらすぐ追い出すさ」


ジルさんが言う。


「はぁ、、、分かりました。好きにしてください」


「悪いなルナ」


「テオ君、絶対に無茶しちゃだめだからね」


「善処する」


ルナに礼を言った後、彼女は帰っていった。


「じゃあ、さっそく見てください」


「まぁ、焦るな。俺は寝起きだ、朝飯が先だ」




ジルさんの朝食後、俺たちは再び外に出た。


「俺を見るって言っていましたけど、具体的には何をやるんですか?俺、魔法仕えませんけど」


「坊主。お前、剣を持ったことはあるか?」


「剣?ないですけど」


「そうか、ならこれを持ってみろ」


そういって、ジルさんが出してきたのは刀身が銀色に輝く美しい剣だった。


「ずいぶんと不思議な形をした剣ですね」


「あぁ。それは刀と言って極東で作られる希少な剣だ」


ジルさんから刀を受け取る。


「初めて持つにしては様になっているが、重心が高い。あと、もっと両手の感覚を開けろ」


俺は言われた通りに構えてみる。


「よし、じゃあ行くぞ」


「はい?」


そういった瞬間、ジルさんは自身が持っていた短剣で切りかかってきた。


持っていた刀でガードしようとするが、そのまま後方に弾き飛ばされてしまった。


「何するんですか!」


「反射神経は悪くないみたいだな」


そう言ってジルさんがじわじわ近づいてくる。


「五分耐えきったら合格にしてやるよ」


「まじか」






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