第4話 危険な外の世界
ラウラとジェシカの二人は旅の荷物を背負って、腰に剣を差し武装して、獣道すら存在しない険しい森の中を歩いていた。
「ねぇ、ジェシカちゃん。こっちで合ってるの?」
「はい、合ってますよ」
「でも、さっきから同じような所ばっかり通ってない? それに……」
ラウラが周りを見渡せば、そこは見渡す限りの木々や草花ばかり。とてもではないが、人の住む場所があるように思えなかった。
だが、ジェシカは確信を持って前に進んでいた。レオンから授かった、数十年前の地図を頼りにして。そして、ちゃんとルート通りに進んでいた。
「モンスターです」
木々の影に隠れて、ラウラとジェシカを狙っていたモンスターと遭遇する。だけどジェシカは既に、モンスターが接近している気配に気付いていた。飛びかかってきたモンスターを、冷静に一刀両断する。
「ほんとだ! 倒そう!」
「はい。いきます」
周囲に潜んでいたモンスターの大群が、一斉に襲いかかってくる。ものすごい数。その全てを、ラウラとジェシカは剣と魔法を使って殲滅していった。
そんな戦闘を何十回も繰り返して、ようやく森から抜け出す事ができた二人。
「こっちです」
「まだ、辿り着かないの?」
「もう少しで目的地に到着します。頑張ってください、ラウラ」
「うん! 頑張るね、ジェシカちゃん!」
実はそれほど疲労していないラウラと、どんなに戦闘を繰り返しても体力が有り余っていたジェシカ。二人は休むことなく、前へ進む。それから数時間ほど歩き続けて、辿り着いた場所は――。
「あれ? 村が無いよ?」
「そのようですね」
地図によれば、そこに村がある筈だった。しかし、二人が目にしたのは朽ち果てた小屋が幾つかあるだけ。とてもではないが、人が住んでいるような場所では無かった。
「どうしよう……」
「うーん……。困りましたね」
目的地に服屋がなかった。人が住んでいないから、もちろん商人も居ない。ラウラとジェシカは悩んだ。拠点に戻ろうか、それとも次の目的地を決めるのか。
「もう少し、行ってみようよ」
「そうですね」
せっかく拠点の外に出てきたのだら、戻らないでもう少し進んでみることにした。レオンの地図によると、もっと行くと街がある。そこまで行けば、人が暮らしているはずだから。
こうして、ラウラ達は更に旅を続けることにしたのだが。
「キァアアアアア!」
「悲鳴だ! 人間がモンスターに襲われているみたい! 助けに行こうッ!」
「ちょっとラウラ、待って下さい」
突然、遠くから人間の女性の悲鳴が聞こえてきた。それを聞いた瞬間に、ラウラが猛スピードで走り出す。状況を把握する前から走り出してしまったラウラの後を、急いで追いかけていくジェシカ。
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