第51話 伊藤エミ③

「よっ、エミ、久しぶり」

「昨日会ったばかりじゃない」

「そう…だっけ。そういや昨日は・た・い・へ・ん・お世話様でした」

「お世話様って、何の?」

「ないしょ」

「変なの」

「日本政府と中国、とうとうモメたわね」

「私有地につき立入禁止、その通りだが湘南市全域私有地につきという名目の占領、だろ」

「超法規発動…とか」

「待ってましたと軍事介入すれば日本の湘南市は中国領旭国とでも改名するかもな」

「アメリカが守ってくれるでしょ」

「具体的にどうやって?強いもん同士は喧嘩しないのさ」

「だって…」

「蓋を開けてみれば沖縄と関東は中国、その他はアメリカの属国ということで話はチョンだ」

「そしたら…日本国民はどうなるの?」

「知らんね。興味なし」

「そういううと思った」

「話は変わるけど、湘南市封鎖されちゃっていま困ってるの」

「俺は顔パスだぜ」

「ホント―いつの間に…」

「例のニュース、連日だな」

「だって犯人は人食い熊だって…その窓口が警察なんだもん。ムリよ」

「SNSの方が面白いわ。グレムリンを倒した人のコメがステータスきた―とかスキルだLVだって。大騒ぎよ」

「そいつらに日本を救って貰おうぜ」

「もう、相変わらずね」

「町中は危険か?」

「昼間はまだしも夜は危険だわ。だって人間は餌だもん」

「じゃぁアナザーワールドに引っ越してこい」

「ホントに!うれし―!じゃ気が変わらないうちに支度してくるね」

「いらねーよ。なんでもコピーできるんだぜ、エミさえも」

「ん、わかった。じゃぁ…今から?」

「ああ、だけど、ちょっと頼みがあるんだ」

「なーに、あらたまって」

「いつでもどこでも、ヤりたい時にヤらせてくれ」

「・・・」

「どうした?」

「ダイレクトね。アキラ変わったよね」

「で」

「いいよ。赤ちゃんできたら責任とってよ」



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