第49話 俺だけど…俺じゃねー!
エイミーは✪警備隊へ話を通していたらしい。
ジャングルの転移先まですんなり通れた。
『怖い…ところね』
『お姉ちゃん、まだ入口じゃん』
「これを着て、このシューズに履き替えてくれ」
『この暑いのにコート?』
『でもカッコよくない。どう?似合うでしょ』
(妹と姉、性格は正反対だな)
「これはパラライザーだ。無反動で扱い易い」
俺も無重力シューズ、コートを羽織ると電磁ブレードを持つ。
『カッコイー―ファイナルファンタジーのスコールみたい。背も180はありそうだし、若い頃の大沢たかおに似てるし。ビビビっときちゃう』
「よく言われるぜ」
(言われねーよ!初めてだよ!)
変わっちゃった、ワイルドな性格に。
いつから?昨日じゃない、一昨日?そうだ!コピー実験したあの日からだ!
後ろをついて来い。行くぞ。
『まって、って、えぇ――!浮いてる――』
『きゃ――なにこれ、すご――い!』
『速――ぃぃぃ』
この辺りだったな。
犯人は十中八九グレムリンだろう。
真っ直ぐ前を見てみろ。あそこに洞穴があるだろ。
『うん、なんか小鬼がいっぱいいる』
『あれ、と戦うの…』
「それは俺がやる。お前たちはここで待ってろ」
『イヤイヤ、それはイヤ』
『じゃぁ一緒に来い」
『もっとヤダ――』
我儘なお姫さんだ。
「じゃぁ、俺の別荘に招待するから呼ぶまで待ってろ」
装備したコートやシューズを回収し、2人を抱き寄せるとアナザーワールドへダイブする。
『何処ここ…』
『どうやって…』
『え、なんで、魔法?凄い凄い凄――い』
『信じられないんだけど一瞬でゴージャスなマンション来ちゃった。
全面オーシャンビューよ』
『彼と出会ってから私たち驚いてばっかりだわ』
『ここ、どこのマンションなの?』
『お姉ちゃん、知ってた?』
『私も知らなかったわ。教えてくれないものね』
「そんなのはおいおい知れば済むことだろう」
「ところでお前ら何人だ?日本語が達者な中国人か?」
『中国系日本人とフィリピンのハーフ』
(道理で。その色っぽい顔立ちは生まれながらのエキゾチックエロってわけか)
「適当に寛いでいくれ。おれは…」
『ちょっとお姉ちゃん!来て!早く早く!』
『なになに…って…なにこれ、町なの…』
『ほら、コンビニも回転寿司もアミューズメントパークまであるよ!』
「露天温泉もフードコートもあるし。一杯飲もうよ」
『だって、私達未成年よ』
「なにいっちゃってんの。
ここにはさ法律なんてないの。日本でもないの(多分)。別の世界なの」
『日本じゃない…』
『お姉ちゃん堅いこと言わないの』
「ま,いいさ。お楽しみの最中だ。おれは仕事をしてくるぜ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈数分後┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「行こうか」
いきなりで驚いた2人はびっくりしたらしい。
『えっ、もう終わったの』
「所持品が多数あってな。それを検品してくれ」
『パパのも?』
「それをお前たちで調べるのさ」
2人を案内した洞穴の中には喰い残した人骨が散乱していた。
『ひっ』
『怖い』
『小鬼の死体はないの?』
「あいつらは死ぬと消滅するのさ」
「所持品はこの先だ」
奥の方でバッグや靴、衣類などが散らかっている。
『見るのが怖いわ。もしパパのが…』
『お姉ちゃん、これ、パパのバッグ!この腕時計も…』
「遺品を持って戻るぞ」
『だって…』
『パパたち食べられちゃったの…』
姉妹の頬に涙の雫が滑り落ちてくる。
「じゃ、約束通り生き返らせてやろう」
『え、ホント?ここで』
「こんな所で蘇らせてどうする」
『パパ蘇るの、生き返るの? お姉ちゃん、彼ってネクロマンサーなの?』
ネクロマンサー…そうかもな。
だだし、だ。この魔法は一度だけしか使えない。
忘れるな、2度めはないぞ。
「じゃ、お前達は家で待ってろ。パパが帰ってくるぞ」
いや、それじゃダメか。
俺と契約済みだったアイミーエイミー姉妹の記憶も消失する。
だから姉妹の記憶を残したまま時を戻す…試してみるか。
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