新章 第5章「日本崩壊」

第47話 始まりの日

ミーナ…

う…

ここは…

アナザーワールドマンション…


時間遡行からアナザーワールドマンションへ戻ってきたということは…

俺は死んだのか。

ミーナも…

ミーナを助けてやれなかった。

いくら時を戻しても…あの世界ごと消滅させることができなきゃ…

あ・れ・を倒せない。


スマホにメールが届いてる。ユミからだ。

メールには「オフレコのニュースがあるの」とだけ。

折り返しユミに連絡すると

「すぐ行くから」


ユミはアパートに着くなり俺の顔をチラ見してモジモジしている。

ごうやらアナザーワールドへ行きたいらしい。

昼時だしな。連れてってやるか。


ユミはアナザーワールドマンションに隣接したスシローでキンキンに冷えた生ビールを飲みながら好きなネタをつまむ。

うなぎ美味し――国産だってよ!

車海老もスワイガニの刺し身もトロ―っとして甘ーいの!


おいおい、オフレコの話はどこ行った。


ちょっとこれ見て。

エミのスマホの画像には迷彩服の上から熊の爪に裂かれたような死体が写っていた。

「これはまだニュースで報じられてないけど、何処だと思う?」

「日本?」

「そう、韮山トンネル」

「中国軍?」

「と、その関係者。ほら」

軍部関係者以外の死体もあった。

「でね、このニュース」

動画のアナウンサーが湘南市と横須賀市の境界で起きた事件を報道していた。

「遺体には3本線で抉られた無数の傷がありました。しかもその遺体には…食べられたと思われる何かの歯型が…」

「これ…」

「喰ったのはグレムリンだろ」

「やけに落ち着いてるわね」

「そうでもないさ、そのうち自衛隊が出てくるだろ」

「なーんかシラケちゃった」

「中国軍関係者が転移するのを盗み見たグレムリンどもが真似したんだろ」

「じゃ、わんさかやってくるじゃん」

「そうだな。日本全国、そうなると自衛隊だけじゃ処理しきれないな」

「近いうちに翼竜、人造人間、異星人が押し寄せてくるぜ」

「他人事だわ――アキラは動かないの?」

「困ったらアナザーワールドで暮らすよ」

「ずっと1人で?あ、私と2人で」

「歓迎するよ。アナザーワールドなら好きな人間をいくらでもコピーできるし」

「私もコピーしちゃって、あんなことやこんなことしちゃうんだきっと」

「それもいいかな」

「え――3Pする…の?」

「プッ」

口から飲みかけのビールがジェット噴射した。

(呑気だなぁ、エミは知らないけど俺が体験した砂蟻、空中クラゲの集団だけでも間違いなく地球は滅ぶぞ)

3Pか…そういう意味jじゃないが。俺のコピーか、いいかも。


「なにしてるの?」

「お悩み中さ、気にしないで飲んでてくれ」

「はーい」


最初はこれだな。

《神の鉄槌のレベルアップには1000万ポイント必要です》

はい、1000万ポイント。

《おめでとうございます。神の鉄槌が開放されました》

よし、文字が赤くない。

次はいよいよ…


《神の一撃のレベルアップには1億ポイント必要です》

どーぞ!1億ポイント!

《おめでとうございます。神の一撃が開放されました》

《神の好意が神の威光へクラスチェンジしました》

《SOUL✞9は減少する度に自動で修復されます》

神の一撃、どれ程の威力なのか検証しないと分からないが俺とミーナを死滅させたあのバ・ケ・モ・ノと渡り合えるかも知れない。


「エミ」

「なーに?」

いや、内緒にしとこう。

ちょっとトイレだと席を外す。


いよいよだ。

俺、じゃダメだろうな。


「コピー!ヨヤスアキラ!」


瞬時に俺と瓜二つのコピー人間が目の前に出現した。


「お、お、なんて呼べばいいんだ?」相棒?考えてなかった。


小っ恥ずかしいけど、やっぱ最初は初めまして、になるのか?


「あ、やぁ」

「チャース、兄弟。じゃなくて兄ちゃん、よろっ」

な、なんだこいつ…外見は俺だが中身はパープーじゃねーか。

駄作だ…コピー…リスクはつきものだがやらなきゃよかった…


「ま、難しいこと抜きで気楽にでいいっしょ」

「もういい…」期待しただけにガッカリだ。


「おまえは今からコピオだ。解ったな」

「オッケ――コピオっす」


コピオのステータスも期待できないか。


「鑑定」


外見は俺と同じだ。が、アビリティまではコピーできないのか、残念なヤツだな。

で、なにこのスペシャルスキル・成長と性の伝道師って…


時を1分前に戻そう。

事実は変えられないが、自分をコピーした記憶は残る。

だから自分を再びコピーしなけりゃいいんだ。

要は自分をコピーしたという事実を無かったことにするのさ。


「1分前に時を戻せ!」


う――目ん玉ぐるぐるで気持ち悪…


「長かったね。でっかい方?」

「そんなところだ。でかすぎて俺ぐらいのデカさで驚いたよ」

ア―ハッハッハ、真に受けないでよ―、おもしろーい、おかしー、たのしー、

くっだらばい話に笑っちゃった。

 

物のコピーはパーフェクトだが人のコピーは不完全だった。

それでも…1度だけ、ミーナのコピーを試してみたい。もしかしたら…

反面、人のコピーは…するもんじゃないな。というジレンマに陥ってしまう…




















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る