第39話 円盤②

デカいし広い。

円盤は5~60mはありそうなほどの巨大な円形ドーム型だ。


格納庫の先にあるのはコントロールルームか。

うん、これ動かせないし、興味なし。


この階層に居住区域は無さそうだ。


床を通過して円盤の真下を覗いてみた。

「!?」

巨大な虹色の球体が透明な箱の中で蠢いている。

ガスのような液体のような…

こんなの見たことがない。


「鑑定」


《未確認生体物質のエナジーを検出・時の動きと反比例した未知の多次元パワーを使用した一種の動力源と思われます》


生体物質に時の動きが反比例って、つまり、全く分からなかった。これはパスで。


この階層の並びの部屋へ順次侵入していく。


3人の男女がベッドであんなことやこんなことを…組んず解れつ技の掛け合いをしていた。女2人に男は1人。

言い換えるとアレだ、つまり子作りの真っ最中だ。


男、初めてみたけど驚いたな。中年で豚みたいに太ったオッサンだ。

逆に2人の女は顔よしスタイルよしで水も滴るピッチピチのおにゃんこだ。

おにゃんこと表現したが猫型獣人のことじゃない。

10代の娘と思しき、という揶揄だ。


どれどれ、アソコとアレの作りが人種女性とエロフと比較してどう違うんだ。

おっぱいは…同じだ。尻の穴も股ぐらの穴も…同じか。へ――異星人でもアレの作りは同じなんだ。お勉強になったよ――


それにしたって不思議だ。ここじゃ男の姿を見かけなかったが、だとしても中年太りのオッサンがこれほどモテるのが不思議だ。


「鑑定」


鎮小太郎・44歳・呪術師レベル9

種族人類

〚魅了眼〛

ちんこ、たろう。じゃなくて、ちんこたろうか。

日本人?

森へ迷い込んだ学者の1人かな。

だとしたら今迄よく生きてこれたもんだ。

な―るほ―モテる秘訣は〚魅了眼〛ね。

いいスキル持ってるし、これからもエロフィー相手に子作りに励んで下さい。

プロレスごっこに夢中なエルフィー2人からルーンナイフでLPを奪うと部屋を後にした。


ここは食堂を兼ねた円盤のコミニュティールームっぽい。

1,2,3…全員で20人、全員女。前にSPを頂いた顔ぶれもいるが、

イシイとバナナの姿が見当たらない。

結局[男]はオッサン1人だけだった。

ルーンナイフでほぼ全員から頂くものを頂いてコミニュティールームを退散した。


円盤内にもイシイとバナナの姿が見当たらない。

もういいや、どこだろうと。

あいつらもあのオッサンに股開いてると思うと復讐心も薄れる。


前から誰か来る。3人の女だ。付き添っているのはイシイとバナナ。

コミニュティールームの方から「リリアナ様」と声がかかる。

すると真ん中にいるのがリリアナ様か。格上っぽく服装もエロくない。


リリアナが何か持ってる。リリアナが握りしめてるもの。

こいつが持ってるのは地図だ!

リリアナがコミニュティテーブルにつくと地図を広げて懐からペンを取りだす。

今気づいたがエルフィー全員の指に宝石が輝いている。

それぞれがルビー・サファイア・ホワイトオパールの何れかの宝石を。

俺はホワイトオパールのリリアナの隣へ移動し地図を覗く。

勘のいいエルフィーだが今の浮遊体のレベルは3。

レベルの格が上がってビリアンのように勘づかれたりもない。


突然円盤が揺れた!


外で何か起きたらしいが円盤内では外の音が響かない。

地響きの振動で地図が床に落ちる。皆は地図のことより何事だと騒いている。

「リリアン様、こちらへ!」

今がチャンスだ。

マジックハンドで地図を奪うと一目散に本体のある牢屋へ急ぐ。


[カンカンカンカン]

櫓の鐘の音が喧しい。

「襲撃よ!」

「敵は?」

「ヤツらよ。とうとう来たわ」

「武器と格納庫からエアバイクとマルチコプターを持ってきて!」

村の結界は空からの攻撃に対して無防備だったらしい。


上空からアルフィー族の村へ何者かが攻撃を加えていた。

その攻撃に対し地上からエルフィー族が赤、青、白銀の光線で敵を迎え撃つ。

敵が放つ火の玉は、目標に当たると爆発した。火の玉の形をした爆弾らしい。


敵の姿が逆光で確認しづらいが浮遊体の俺には物理攻撃が効かない。

牢屋の手前で敵の姿を捉えた。


なんだアレは…


「鑑定」


《細胞培養型ヒューマノイド/身長2m/人造ヒューマノイドにLPは存在しません。

従いステータスも不明です。強さ並下》

《竜人幹細胞移植型合成キメラ・LP999/知能指数底/体長6m~3種の異質同体で在るため詳細不明につきLV判定不可能/強さ並》


なんだそりゃぁ…


「詳細鑑定」

〚リビングクラッシャー/異世界人と異なるエレメントから作られた生物ロボット〛

〚ジャバウォック/竜人とサラマンダーの遺伝子を持つ龍の一種。合成キメラ生物〛


ふーん。余り興味が沸かない。

リビングクラッシャーはLPが無いんじゃルーンナイフも意味ないし、

こいつらもエロフも俺の敵だ。戦いに巻き込まれれても敵のエロフを喜ばすだけだ。


それより俺の本体が火の玉爆弾で御釈迦様なったら本末転倒だ。

空に舞う凶竜ジャバウォックに挑む気力など持ち合せてないので

本体に戻ってこんな所とはオサラバだ。


牢屋内の本体はシャドーマンが警戒していたため心強い。

霊体から本来の姿に戻るも手首の縄が邪魔だ。これじゃ自由に動けない。

一旦シャドールームへ戻って包丁で…


爆発音で足音が消されて気づかなかったが誰か来る。

何者かが牢屋へ近づいてきた。

そいつは牢の前まで来ると開口一番


「お前が手引したのね」


やってくるなり意味不明なことを言い出す。

エルフィー族は似たような美形なので顔だと判別がつきにくい。

が、声からしてやってきたのは

俺をスパイ呼ばわりしたフォーリアという女だ。

般若かと思うような顔をしたフォーリアの口から


「死ね!」


彼女の指の間から赤い閃光が走ると同時に絶命した。





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る